芦屋釜が600年ぶり里帰り 特別展で初公開 福岡

福岡県芦屋町に戻ってきた芦屋霰地真形釜(芦屋釜の里提供)
福岡県芦屋町に戻ってきた芦屋霰地真形釜(芦屋釜の里提供)

室町時代、茶釜の名品の産地として知られた筑前国芦屋(現・福岡県芦屋町)でつくられた芦屋釜「芦屋霰地真形(あられちじしんなり)釜」が600年ぶりに里帰り。町立「芦屋釜の里」特別展で27日まで初公開している。

芦屋町が昨年11月、町制施行130年を記念して購入した芦屋霰地真形釜は、15世紀初めの室町時代の製作で、昭和32年に国の重要文化財に指定されている。真形と呼ばれる美しい外曲線と整然と並んだ霰文、きっちり造り込まれた左右の鐶付(かんつき)が特徴。重要文化財8点の中では唯一個人が所有していた。「芦屋釜の里」の新郷英弘学芸員は「この1点以外は美術館などの所属になっており、購入は最後のチャンスだった」と話す。ただ、芦屋を出た釜がどういう歴史をたどったかは不明という。

特別展は「芦屋から始まる茶の湯釜、六百年の系譜」と題し、購入した芦屋釜を初公開するほか、住友コレクションの名品を含め9点を展示。芦屋釜と並ぶ伝統を持つ天明釜(栃木県佐野市)など各地の茶釜から、茶の湯釜の歴史と美を探る。「芦屋釜の里」で養成した現代の鋳物師(いもじ)2人の作品7点も展示している。

芦屋釜は室町時代、京都で人気を呼び足利将軍家にもたびたび献納された。しかし、その後は衰退。江戸時代初期には「幻の茶釜」となった。だが、国の重要文化財に指定されている茶釜9点のうち8点までが芦屋釜で、技術水準と芸術性の評価は高い。

購入した芦屋釜は特別展の後、九州国立博物館(太宰府市)で保管。芦屋釜の里で来年度以降、重要文化財が保管できるよう設備を整えた上で、常設展示する方針。