露、英大使に厳重抗議 英駆逐艦のクリミア接近問題で

23日、黒海海域を航行する英駆逐艦「ディフェンダー」(ロシア国防省提供、タス=共同)
23日、黒海海域を航行する英駆逐艦「ディフェンダー」(ロシア国防省提供、タス=共同)

【モスクワ=小野田雄一、ロンドン=板東和正】ロシア外務省は24日、実効支配するウクライナ南部クリミア半島近くの黒海で、英国艦船が「領海侵犯」したとして、ブロナート英国大使を外務省に呼び、厳重抗議したと発表した。ロシア側は英国艦船に対する「警告射撃」を実施したと主張し、英国への牽制(けんせい)を強めている。

露国防省によると、英海軍の駆逐艦「ディフェンダー」が23日、クリミア半島付近でロシアが「領海」と主張する海域に侵入したため、沿岸警備隊の艦艇が警告射撃し、爆撃機で警告のため爆弾を投下した。

露外務省は24日の発表で英駆逐艦が「挑発的で危険な行動」をとったと主張。今後、同様の行動があった場合、その結果として起こりうる事態の全責任は英国側にあると強調した。

一方、英国防省は23日、駆逐艦はウクライナ南部オデッサからジョージアに向かって国際法に従い航行中だったと表明。英国をはじめ欧米諸国はロシアによるクリミア併合を認めておらず、ウォレス英国防相は24日、「現場はウクライナ領海だった」と説明した。

警告射撃について英側は露側の「演習」であり「駆逐艦への射撃と認識していない」と反論。駆逐艦に乗艦していた英BBC放送の記者によると、露側の艦艇は駆逐艦を追尾し、100メートルの距離に接近することもあったが、「射撃音は遠くで聞こえた」という。

黒海では北大西洋条約機構(NATO)が28日から大規模軍事演習を開始する予定で、ウクライナ海軍も参加する。露専門家は、ロシアが欧米のこうした動きを牽制し、クリミア半島の実効支配を改めて誇示しようとしたとみる一方、英国駆逐艦は露側の出方を探るために露側が「領海」とする海域に入った可能性などを指摘している。