国際協力は「他人事ではなく、自分事」 JICA中高生エッセイコンテスト募集開始[Sponsored] - 産経ニュース

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国際協力は「他人事ではなく、自分事」 JICA中高生エッセイコンテスト募集開始

昨年度の国際協力特別賞を受賞した久保田美優さん
昨年度の国際協力特別賞を受賞した久保田美優さん

途上国の現状や日本との関わりに理解を深め、国際社会のなかでどう行動すべきかを考える━次世代を担う中高生が、この課題に向き合う機会として活用が広がるJICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト(独立行政法人国際協力機構〈JICA〉主催)の募集が始まった。今年は「私たちと地球の新しい未来」がテーマ。気候変動や新型コロナウイルスなど地球規模の問題が浮上するいま、いかに自らの暮らしとのつながりを知り、どう行動するかが問われる。自身の経験を踏まえ難民支援への思いをつづり、昨年度の国際協力特別賞を受賞した南丹市立園部中学校(京都)の取り組みを取材した。

難民の境遇に思いを重ねる

「引っ越しして故郷を離れた寂しさを感じていたから、紛争や迫害で故国を追われた難民の境遇が胸に迫った」。同校2年の久保田美優さんは昨年、受賞作の題材に難民へ古着を贈る“届けよう、服のチカラ”プロジェクトを選んだ理由をこう話した。

幼少期を北海道釧路市で過ごし、女子サッカーで活躍した彼女は昨年3月、家族で南丹市に移り住んだ。中学入学のタイミングだったが、新型コロナの影響で臨時休校が続き「身近に同年代の友だちがいなくて新たな環境への戸惑いや不安があった」。

6月に授業が再開するなか、学校になじむ糸口になったのがこのプロジェクトだ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と、カジュアルウエアブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが全国の小中高を対象に、リユースやリサイクル、消費者の持つ責任の重要性などを伝える参加型学習プログラムとして提供。難民キャンプなどで慢性的に不足している子ども服を集め、2013年のスタートから昨年までにアフリカなど世界各地に贈っている。同校も13年度から1年生の家庭科や社会科の授業に取り入れており、釧路市の小学生時代に古着を贈った経験のある彼女は「同じ活動をしていると分かって親近感がわいた」。

届けよう、服のチカラプロジェクトでアフリカ南東部マラウイの難民キャンプに贈られた服を着る子どもたち(ファーストリテイリング提供)
届けよう、服のチカラプロジェクトでアフリカ南東部マラウイの難民キャンプに贈られた服を着る子どもたち(ファーストリテイリング提供)

自身も寄付する一方、社会科の授業などで支援を必要とする難民の境遇を学んだ。紛争や迫害などで家を追われた世界で約8240万人(UNHCR調べ、20年末時点)の多くを同世代の子どもが占めると知り、故郷を離れた心情を想像し、自らの思いが重なった。より難民に寄り添う支援を目指し、級友と「気持ちよく着てもらえるよう、洗濯してから寄付しよう」など意見を出し合うことで、「身近な活動が国際協力につながっていると気付いた」。

夏休みの課題としてエッセイコンテストへの応募が求められるなか、プロジェクトの経験を生かして執筆をスタート。「作文は苦手」とはにかむ彼女だが、悩みながら言葉を紡ぎ3日間かけて書き上げた。社会科を受け持つ担任の上木広夢教諭の指導も受けながら、10回以上も修正を加えた結果、中学生の部の応募1万6956点のなかから国際協力特別賞を獲得した。

上木教諭が国際理解教育の授業の資料としてまとめた同校のプロジェクトの様子
上木教諭が国際理解教育の授業の資料としてまとめた同校のプロジェクトの様子

受賞作のタイトル「遠い『ふるさと』を離れても」には、自身と難民の思いを重ねて込めた。新型コロナで自らの暮らしも脅かされるいま、「マスクなど当たり前の対策も、難民には行き届かないかもしれない。他人事(ひとごと)ではなく、自分事としてこれからも積極的に支援を届けたい」と前を向いた。

中学生の視点で考える

グローバル人材の育成を目指す同校は例年、1年時の社会科で「国際理解教育」の授業を設定。生徒が取り組むプロジェクトなどを事例に、背景にある貧困や環境など地球規模の課題に対応するSDGs(持続可能な開発目標)の考え方を教え、その成果としてエッセイを課している。昨年度は久保田さんの受賞作を含め約130点を応募して「学校賞」も受賞した。

久保田さんら生徒のエッセイを指導する上木教諭(右)は、「気づいたことを『発信』することで、少しずつ世界は変化する」と伝えている
久保田さんら生徒のエッセイを指導する上木教諭(右)は、「気づいたことを『発信』することで、少しずつ世界は変化する」と伝えている

指導する上木教諭が大切にするのが、「社会の事象を自分事としてとらえ、生活に結び付いた気付きにつなげる」こと。このため授業では、写真や新聞記事を駆使した100ページに及ぶスライド資料を用意。同校のアルミ缶回収や古着を贈るプロジェクトなどの身近な活動の成果を紹介するほか、東日本大震災やコロナ禍など日本を襲った災禍の記憶に訴え、貧困や衛生問題に苦しむ海外への想像力を引き出している。

エッセイでも国際協力への理解を基に、「いかに自分事に落とし込み、中学生の視点で考えているかが大切。生徒の考えを僕自身も一緒に学びながら授業を進めると、柔軟な発想や意見が出てくるのが面白い」と笑顔をみせる。授業以外でも、JICAの活動やSDGsを紹介する動画のQRコードを配布するなどITも活用し、生徒の興味を刺激している。結果、国際理解教育やSDGsへの認知が進み、「世界に視野を広げ、生徒自らどう行動するべきかを自然と考えるように変わった」。

上木教諭
上木教諭

同校はさらに、2年生で北方領土をテーマとして作文コンクールに取り組み、3年生は拉致問題を扱う映画を教材に学ぶなどカリキュラムに沿って生徒の興味を探りつつ、段階的に視野を広げるよう後押し。グローバルな視点を養うとともに、教育目標の「基本的人権の尊重を基盤とし、学びを深め、主体的に行動する生徒の育成」につなげている。

福西茂樹校長は「困っている同級生に気付いてあげられるかどうか、その延長線上に難民支援などの国際協力がある。身近な気づきを大切にできる人間に育ってほしい」と話した。

「JICA 国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト」の募集概要はこちら

※募集締め切りは9月11日。学校応募だけでなく、個人でも応募できる。

提供:独立行政法人国際協力機構(JICA)