「言論の自由は死んだ」 在日香港人も悲痛な声 蘋果日報休刊に

蘋果日報に掲載された昨年7月1日付の産経新聞1面記事=23日、東京都千代田区(納冨康撮影)
蘋果日報に掲載された昨年7月1日付の産経新聞1面記事=23日、東京都千代田区(納冨康撮影)

「香港の言論の自由は完全に死んだ」。中国政府に批判的な香港の大手紙、蘋果(ひんか)日報(アップルデイリー)の24日付での休刊をめぐり、日本に住む香港人からも悲痛な声が相次いだ。

「幼いころから親しんでいた新聞。大きな悲しみに襲われた」。東京都新宿区に住む民主活動家のウィリアム・リーさん(27)は、今の心境をこう語る。小学生時代、新聞記事の要約の宿題で同紙を使ったことを思い出したといい、「多くの香港人にとって、蘋果日報はいつも身近にあった。同紙の記者は命がけで、中国共産党の圧力に屈しない報道姿勢を守ろうとしていた。香港の言論の自由が、完全に死ぬ瞬間を目の当たりにしてしまった」と肩を落とした。

インターネットで同紙を購読していた留学生の何嘉軒(か・かけん)さん(22)=東京都多摩市=も「今は無力感にさいなまれている」とうなだれる。同紙創業者の逮捕以降、休刊の噂は耳にしていたというが、「中国共産党の弾圧と戦う新聞という印象が強いが、旅行や料理など生活や文化に関する発信もすばらしかった。明日から同紙のニュースを読めないと思うと寂しい」と何さん。「海外に住む香港人にも現地の様子を丁寧に届けてくれていた。香港に自由と民主主義が戻ったとき、復活すると信じている」と話した。

大阪市に住む専門学生の香港人男性(30)も「蘋果日報が担ってきた役割を少しでもカバーするため、多くの個人が結集し、民主活動や弾圧の現状をSNSなどで発信していくべきだと思う」と訴えた。

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