露、北方四島で軍事演習開始 実効支配誇示、日米牽制の狙い

北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)。はるか右奥にうっすらと択捉島が見える
北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)。はるか右奥にうっすらと択捉島が見える

【モスクワ=小野田雄一】極東を管轄するロシア軍の東部軍管区は23日、不法占拠する北方四島の択捉(えとろふ)島や国後(くなしり)島などで軍事演習を開始したと発表した。ロシアが現在、アジア太平洋地域で実施している大規模な総合軍事演習の一環で、北方四島の実効支配を誇示するとともに、米国や日本を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

発表によると、演習は2つの「国家集合体」が対立し、一方が島に上陸してきたとの想定で実施。ロシアは一方の陣営をロシアや中国、他方を日本や米国などと想定しているとみられる。演習には1万人超の将兵のほか、航空機や艦船が参加し、5日間行われる。

ロシアは今月中旬以降、日本に、北方領土周辺海域で射撃や爆撃を行うと相次いで通告。日本は容認できないとして抗議していた。

一方、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は23日、露国防省主催の国際会議で「米国のミサイル防衛(MD)システムの構成要素が欧州やアジア太平洋地域に展開されている。北大西洋条約機構(NATO)や日本の艦船への防空能力の付与などを考慮すれば、それは増大し続けている」と述べ、日米への警戒感を示した。

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