【静岡知事選「4選」】攻防17日間 川勝流「リニア劇場」岩井氏に〝レッテル〟 今後の道筋は…(1/3ページ) - 産経ニュース

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静岡知事選「4選」

攻防17日間 川勝流「リニア劇場」岩井氏に〝レッテル〟 今後の道筋は…

静岡県知事選で早々と当選確実となり花束を掲げる川勝平太氏=20日午後8時半ごろ、静岡市葵区(田中万紀撮影)
静岡県知事選で早々と当選確実となり花束を掲げる川勝平太氏=20日午後8時半ごろ、静岡市葵区(田中万紀撮影)

20日の静岡県知事選は4選を目指した現職、川勝平太氏に軍配が上がり、自民が推薦し現職閣僚も県内入りして全力支援した元参院議員、岩井茂樹氏を33万票差の大差で退けた。17日間の攻防を振り返るとともに、選挙戦を通じて浮かび上がった川勝県政4期目の課題を探る。

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4選が決まった審判の日から一夜明けた21日朝、川勝平太氏は選挙疲れもみせず、上機嫌だった。

「清らかな風が吹いています。新しい『静岡時代』を作っていこうと決意を固めた第1日です」。静岡市葵区内の選挙事務所だった場所に、遠州織物の青の半袖シャツ姿で登場すると、記者団に独特の表現で4期目の決意を表明し、笑顔を振りまいてみせた。

立憲民主、国民民主両党の県連などが支援する川勝氏と、派閥内の強い懸念もありながら参院議員を辞して出馬した岩井氏の一騎打ちだった17日間の選挙戦。6月3日の告示以前は、公務優先で街頭にほぼ立たない考えを示唆する淡泊な姿勢だった川勝氏だが、実際には岩井氏を意識した激しい発言が目立っていた。

「国交省の顔」告示前から挑発

「国交省の顔」。岩井氏が正式に出馬表明した4月28日、川勝氏は知事としての定例記者会見で、早くもこう言及した。リニア中央新幹線事業を所管する国土交通副大臣を直前に辞した、岩井氏の経歴を引き合いにした「挑発」といえた。

トンネル工事予定地の南アルプスや、工事による水量減をJR東海が試算している大井川を「命の水」と訴え、JR側や国と激しく対峙してきた川勝氏。政権与党の自民党本部が推薦する岩井氏を、その水問題への〝抵抗勢力〟として格好の対抗馬に位置づけるかのようだった。リニア問題を最大の争点と設定し、その「舞台」に引き込んで論戦を挑む「劇場型選挙」の幕開けだった。

選挙戦に突入すると「負けず嫌い」(陣営幹部)の闘争心に火がついたのか、公務の合間に何度も街頭に繰り出し、自民の組織力や資金力を「猛獣」と激しい言葉で敵視。自身を「巨人に立ち向かうネズミ」と表現してみせた。

「命の水」、いわば環境問題を大井川流域に限らず、県内各地の共通課題として関連づける巧みさも。藤枝市での演説では「牧之原台地の茶畑の水が得られなくなったら、申し訳が立たない。腹を切るぐらいの思いだ」と言い切った。

岩井氏、疑念払拭に時間足りず

対する岩井氏。川勝流の〝リニア劇場〟に対し「命の水は命懸けで守る」と、環境を守る姿勢は同じで争点ではないと強調。流域住民を巻き込んだ円卓会議設置案を提唱し「対立ではなく対話」という路線で、違いを打ち出そうとした。

だが演説時間は、川勝氏の激しい言葉への反論や誤解払拭に多くを割かざるを得なかった。「知事(川勝氏)がレッテルを貼ることについて少し話をしなければならない」。大井川流域での演説冒頭、こう切り出す場面が少なくなかった。