大阪メトロの社員自殺は労災 過度の時間外労働認定も、パワハラは評価外

大阪メトロ社員だった父親の自殺が労災認定され、会見する長男(中央)と次男(左)=24日、大阪市北区
大阪メトロ社員だった父親の自殺が労災認定され、会見する長男(中央)と次男(左)=24日、大阪市北区

昨年3月に大阪メトロの男性社員=当時(45)=が社内で自殺した問題をめぐり、大阪西労働基準監督署が労災と認定したことが24日、遺族側の代理人弁護士への取材で分かった。認定は17日付。3週間で120時間を超える時間外労働で精神疾患を発症し、自殺に追い込まれたと認定された。

一方、遺族が訴えていた上司のパワーハラスメントとの因果関係は、長時間労働による負荷が優先して認定されたため手続き上、評価されなかったとみられる。大阪市内で会見した男性の20代長男は「メトロからきちんとした謝罪や再発防止に向けた説明をもらいたい」と話し、法的に責任追及する意向を示した。

代理人などによると、男性は昨年3月、大阪市西区の本社ビルの階段踊り場で首をつり死亡した。亡くなる約1カ月半前の同年1月下旬には突然丸坊主になり、家族に「仕事できひんからペナルティーや」と話したり、辛そうな様子を見せたりしていたという。男性は数年前から精神疾患の治療を続け、前年夏にはほぼ回復していたが、労基署は昨年1月以降の過度な時間外労働で再発症したと認定したとみられる。

社内調査の結果、メトロは上司の男性課長が「仕事辞めてまえ」「死んでまえ」など人格を否定する暴言を繰り返していたとして昨年6月、停職1カ月と係長への降格の懲戒処分とした。遅刻や業務上のミスに対して、男性に坊主にすることをペナルティーの一例として挙げていた事実もあったという。

メトロは「本事案を非常に重く受け止めており、ご遺族には引き続き真摯(しんし)に対応していく。風通しの良い職場環境づくりや労務管理の徹底に取り組んでいる」などとコメントした。

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