浪速風

エンタメが日常に戻る喜び

映画「キネマの神様」の完成を報告した山田洋次監督(前列左)ら=東京都千代田区(石井健撮影)
映画「キネマの神様」の完成を報告した山田洋次監督(前列左)ら=東京都千代田区(石井健撮影)

映画『キネマの神様』(山田洋次監督)の年老いた主人公は、映画撮影所で過ごした青春時代を振り返り、一度は破れた夢に再び挑戦する。回想シーンには監督自身の修業時代が重なる。山田作品らしい「幸せ」がテーマだ。しかし、制作は出だしから苦難続きだった

▶主演に決まっていた志村けんさんが新型コロナウイルスに感染し、クランクインしたばかりの昨年春に亡くなった。沢田研二さんがあとを継いで今年2月に完成したものの、感染防止のため映画館の営業は制限。ようやく8月公開と決まった

▶主人公の周囲でコロナの影響が広がる様子が描かれ、試写会は席数を減らしての開催、とスクリーンに没入していても、ふと現実に引き戻される。作品に漂う「あのころはよかった」というほっこりした空気に少しため息がまじってしまう。それでも「観てよかったなぁ」と思えるエンターテインメントが、少し日常に戻ってきたことはうれしい。