台湾有情

台湾と香港 分断の危機

台北市の民主進歩党本部で話す蔡英文総統=5月26日(同党提供・共同)
台北市の民主進歩党本部で話す蔡英文総統=5月26日(同党提供・共同)

20日正午ごろ。香港にある台湾の出先機関、台北経済文化弁事処の駐在職員の男女7人が現地スタッフに見送られ、香港国際空港から旅客機に乗り込み、台湾に戻る途に就いた。

台湾の対中政策を主管する大陸委員会所属の公務員でもある7人は、香港当局から台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」原則を認める書類への署名を迫られ、拒否したため、査証(ビザ)の延長が認められなかったという。現在、香港の出先機関に残る台湾人職員は1人のみとなった。この職員も約1カ月後にビザの期限を迎えるため、弁事処は7月中にも業務を停止する可能性がある。

台湾の香港出先機関には長い歴史があり、中台断絶の時代は両岸の水面下の往来を中継する重要な存在だった。1997年の中国への香港返還後も、しばらくは「中華旅行社」という観光業者の名前で活動したが、中台関係が改善した2011年に現在の名称への変更が認められた。

台湾の蔡英文政権がのめない要求を香港当局が突き付けた理由について、台湾在住の香港人民主活動家は「台湾と香港の分断を狙う北京の中央政府の意向に違いない。香港国家安全維持法施行を受け、台湾への移住を希望する香港人が弁事処の窓口に殺到したことが気に食わなかったのだろう」と指摘した。(矢板明夫)