主張

「赤木ファイル」 国は真摯な対応に努めよ

財務省近畿財務局の元職員、赤木俊夫さんが、森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書の改竄(かいざん)を強いられて自殺に追い込まれたとして、妻が国に損害賠償を求めた訴訟で、赤木さんが改竄の過程をまとめた「赤木ファイル」が妻側に開示された。

「最後の夫の声。つらい思いをしながら残してくれた夫に感謝したい」と語った妻の心情を思うとやりきれない。

しかも妻は「夫に指示した人の名は黒塗りで、これを外してもらうために戦う」と述べた。遺族をこれ以上苦しめて、政府は何を得るというのだろう。国は真摯(しんし)な対応に努めるべきである。

ファイルには「財務省の問題意識は、調書から森友学園に厚遇したと受け取られる恐れのある部分は削除するとの考え」との趣旨や「すでに決裁済みの調書を修正することは問題があり行うべきでないと強く抗議した」などの記載があった。

国側は当初、ファイルの存否さえ「答える必要はない」とはねつけ、その後は「探索中」として存在確認に1年以上を要してきた。大阪地裁が存否の回答を求め、ようやく存在を認めた。あまりに不自然であり、意図的な隠蔽(いんぺい)を疑われても仕方がなかった。

ファイルは23日の口頭弁論に提出されるが、国側は意見書で「訴訟とは直接関係が認められない第三者の個人情報も含まれる」などとしてマスキング(黒塗り)を施した上で提出するとしていた。

妻側に開示されたファイルには財務省理財局と近畿財務局との間で送受信されたメールや添付文書もあったが、差出人や宛先がマスキングされたものもあった。

差出人や宛先は当時の指示系統を明らかにする上で欠かせない情報である。黒塗りの下にある情報が「直接関係のない第三者」であるかどうか、妻側や裁判所には判断がつかない。マスキングの範囲を被告側が選択できること自体に妥当性を認めがたく、裁判所は非公開の席での全面開示などの方策を探ってほしい。

麻生太郎財務相は「訴訟の場で審理が行われるのでコメントは控える」と述べ、加藤勝信官房長官は「訴訟への対応は関係省庁で真摯かつ適切に対応される」と語った。言葉にはまるで体温が感じられない。もっと人に温かい政治であってほしい。