夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も

判決を前に最高裁に入る原告団=23日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)
判決を前に最高裁に入る原告団=23日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

最高裁大法廷が23日、6年前に続き、「夫婦別姓」を認めない民法の規定を「合憲」とする判断を示した。この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。「違憲」となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵(あんど)の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。

「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」とも指摘した。

内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正に42・5%が賛成と答え、反対の29・3%を上回った。ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19・8%、希望しないが47・4%だった。

夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」と打ち明ける。

一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある。別姓が認められるのは難しいと思っていた」と話した。

夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」と話した。