政治デスクノート

「新政権」の所信先取りも 支持率上がらない立民に勝算なし

衆院本会議で内閣不信任決議案の趣旨弁明を行う立憲民主党・枝野幸男代表。後方は菅義偉首相=15日午後、国会(萩原悠久人撮影)
衆院本会議で内閣不信任決議案の趣旨弁明を行う立憲民主党・枝野幸男代表。後方は菅義偉首相=15日午後、国会(萩原悠久人撮影)

立憲民主党の支持率低迷が続いている。次期衆院選で共闘する共産、国民、社民3党を加えても、支持率は自民、公明の与党に遠く及ばない。枝野幸男代表は秋までに行われる次期衆院選での政権奪取を訴え、野党4党などで定数の過半数(233)を上回る候補者擁立を既に準備。しかし、新型コロナウイルス対策の不満が募っても、有権者の受け皿にはなっていない。

「一日も早く新しい政権をつくり、感染症対策を抜本的に転換して、命と暮らしを守る政治を実現することを約束し、新しい政権の所信を示しながら、不信任の理由を述べる」

枝野氏は15日の衆院本会議で、菅義偉(すが・よしひで)内閣に対する不信任決議案の趣旨弁明でこう述べ、次期衆院選での政権奪取に意欲を示した。演説の中では、「(自らを首相とした)新しい政権では」と前置きし、コロナ対策などの政策を主張。不信任案が否決された後、演説について記者団に「(衆院選後に新首相を指名する)特別国会で所信表明として申し上げる内容を、一部先行して申し上げた」と豪語した。

次期衆院選に向けては、立民と共産、国民、社民の4党は共闘する方向で一致。既に465選挙区のうち、236選挙区を4党などで埋めた。

しかし、産経新聞社とFNN(フジニュースネットーワーク)が19、20両日に実施した合同世論調査での立民の支持率は8・2%。共産、国民、社民の3党の支持率を加えても11・6%。これに対し、自民は37・0%、公明は2・5%。自公合わせて39・5%となり野党4党にトリプルスコア以上だ。

しかし、この傾向は産経・FNNの調査、6月に限ったことではない。6月の毎日新聞の調査では立民の支持率は10%、読売新聞が5%、共同通信が7・9%にとどまる。産経・FNNの1~6月の平均支持率は7・5%だ。

菅内閣の支持率が前回比9・3ポイント減の43・0%に急落し、不支持率が52・8%と5割を超えて支持と不支持が逆転した5月の調査でも立民の支持率は7・7%で、4月の調査よりも2・2ポイントの増にとどまった。

5月の調査では「支持政党はない」が44・9%で6・2ポイントの増。ワクチン接種の遅れなど菅内閣のコロナ対策への不満は立民の支持には結びつかず、無党派に流れている。

立民が菅政権の批判の受け皿となりえないのは、不信任案提出や消費税率引き下げをめぐる枝野氏の迷走への不信感が背景にあるのだろう。流れをくむ民主党政権の失敗へのアレルギーも大きいはずだ。

枝野氏は、今回の内閣不信任案をめぐっては提出に至るまでに「新型コロナウイルス禍で政局を優先している」との世論の反発に遠慮して、なかなか決断できなかった。いくら趣旨弁明で政権奪取を訴えても、それまでの煮え切らない枝野氏の発言や態度は有権者の目に優柔不断に映るだろう。

「一度、やらせてみよう」。そんな有権者の気持ちで平成21年の衆院選で誕生した民主党政権は、デフレからの脱却も実現できず、23年の東日本大震災への対応も遅れた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設をめぐり日米同盟は漂流もした。

立民が、政権を奪取するにはどうすればいいのか。ある野党幹部は、世代交代に言及した。東日本大震災が発生した23年、菅直人内閣で官房長官を務めていた枝野氏には旧民主の影がどうしてもつきまとう。福山哲郎幹事長、泉健太政調会長ら主要幹部も旧民主出身だ。旧民主の亡霊を引きずる幹部が前面に出ている限り、負のイメージは払拭できない。

枝野氏が立民を率いてまもなく4年、清新さを失った立民は自民の受け皿にも対立軸になりえない。野党幹部は、立民で世代交代が進めば次期衆院選で「勝機はある」と話した。(政治部次長 小島優)

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