【主張】イラン大統領選 強権陣営の動きに警戒を - 産経ニュース

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イラン大統領選 強権陣営の動きに警戒を

中東の地域大国イランの大統領選は、イスラム法学者のライシ司法府代表が勝利し、保守強硬派が2期8年ぶりに政権を奪還した。

保守穏健派のロウハニ現大統領は米欧との協調路線をとったが、外交方針の転換は避けられまい。だが、イランの核開発は、中東の緊張を高め、放置できない。米国の復帰を含む核合意の再建に日本を含む国際社会は全力を挙げるべきだ。

懸念されるのは、対外的な強硬姿勢とともに、国内で強権的手法が強まってきていることだ。

「ライシ師大勝」は、あらかじめ予想されていたものだ。保守穏健派・改革派の有力者が事前の審査で排除されていたからだ。

投票率は過去最低の48・8%にとどまり、抗議の無効票も目立った。ロウハニ師が再選を決めた前回選挙は73・3%だった。

イランはイスラム法学者の最高指導者が全権を握り、大統領は外交など国政運営の実務を担うナンバー2の位置づけだ。

最高指導者ハメネイ師の意向に沿った選挙結果であり、民意を反映したとはいえない。

ライシ師は1980年代の反体制派の大量処刑に関与したとして、トランプ前米政権が制裁対象に指定した。

米国は核合意復帰に向け、イランとの間接協議を断続的に続けている。ただ、バイデン政権は「人権外交」を掲げており、向き合うことにも困難が伴おう。

イランの影響力拡大に直面するアラブ諸国や、敵対するイスラエルは、警戒を強めている。

そうした中、問題なのはイランが一層の中国重視に傾くことだ。イランと中国は今年3月、25年の長期にわたる経済分野を中心とした包括的協力協定を結んだ。

さらにロシアはイランの友好国である。強権や反米を共通項とする陣営の一角を、イランが公然と占める構図にしてはなるまい。

ライシ師はハメネイ師の後継者とも目される。唯一の希望は、イランの実力者として安全保障や人権問題などで大胆に妥協できる立場にあることだ。

米国とイランが進めている間接協議は、双方が継続する意向を表明している。イランの弾道ミサイル開発や地域紛争への介入、ホルムズ海峡での挑発行為なども議論に含め、困難であっても核合意再建を目指してもらいたい。