五輪まで1カ月 米、中止論は下火に「始まれば楽しむ」

国立競技場前の五輪マークのモニュメント=5月28日、東京都新宿区
国立競技場前の五輪マークのモニュメント=5月28日、東京都新宿区

【ニューヨーク=平田雄介】東京五輪開幕まで23日で1カ月となる中、600人を超える大選手団を派遣する米国では、新型コロナウイルス感染症への懸念が残るものの、「開会式が始まれば人々は五輪を楽しむ」との前向きな声も聞かれている。

独占放映権を持つNBCユニバーサルのジェフ・シェル最高経営責任者(CEO)は14日、大手金融機関が主催したオンライン会議で「(2012年の)ロンドン五輪では交通(への影響)が懸念され、前回(16年)のリオ五輪ではジカ熱の流行が懸念されたが、開会式が始まれば、人々はそうした不安を忘れる。東京五輪も同じようになるだろう」と楽観的に語った。

傘下のNBCテレビは、視聴者に人気の高い開会式を米東部時間の午前6時55分から生中継し、夜のプライムタイムや未明にも再放送する計画を2月に発表。「前例のない試練を乗り越え、世界が東京に集結する、史上最も意義があり、期待される開会式」と位置づけ広告枠の販売に力を入れてきた。シェル氏によると、広告枠の先行販売は完了し、「売り上げは同社史上で最高額だ」という。

米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は、選手やスタッフらの感染対策のため、出発前96時間以内にPCR検査を2度受けることや規則集「プレーブック」を理解したことを示す誓約書の用意など、渡航準備のチェックリストを作成。体温計やワクチンの接種証明書などの手荷物リスト、ダウンロードしておくと便利なアプリ集なども整えた。大会中の感染リスクについては「東京組織委員会と定めた対策が選手団の安全な参加を可能にする」と自信を示す。

米メディアでは五輪開催への懐疑論も目立ったが、日本で新規感染者が最近1カ月間で急減し、ワクチン接種率が伸びる中、中止論は下火になりつつある。

ただ、「無観客開催」が望ましいとした日本の専門家有志の提言を受け、AP通信は「警告にも関わらず大会実施に進むのはなぜか」との見出しを掲げ、「大会が始まれば『日本のために』という世論が広まり、どのように開催に至ったかを国民が忘れてしまうことを、政治家は望んでいる」などの日米の有識者の声も伝えた。