話の肖像画

ジャパネットたかた創業者・高田明(72)(12)支店開設、新規顧客開拓へ

たった3坪の「カメラのたかた」松浦支店
たった3坪の「カメラのたかた」松浦支店

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《実家の「カメラのたかた」の社員として、長崎・平戸を訪れる団体旅行客の撮影、販売に追われる日々。仕事を通じた人とのつながりがビジネスを広げていくことを学んだ》


寝る時間を削って観光写真の撮影、販売に取り組んでいましたが、そのうちに目の前の仕事を全力でやっていると自然と次にやるべきことが見えてくることに気づきました。ホテルの宴会での撮影後、仲が良くなった旅行会社の添乗員さんに「明日はどこに寄っていきますか?」と聞く。「まず平戸大橋に寄って、そのあと佐世保を通って佐賀県鹿島市の祐徳稲荷(ゆうとく いなり )のお参りです」「じゃあ、その2カ所で集合写真を撮りませんか」。これで写真を買ってもらうチャンスが増える。携帯電話のない時代、平戸内外で使うのはトランシーバー。「今から30分くらいで訪れるよ」と連絡しあって、スムーズに撮影が進むようにしていました。

別の旅行会社の添乗員さんからは「今度、海外に行くからついてこんね」と声を掛けてもらいました。行き先はセイロンから国名が変わったスリランカ。飛行機でいっしょに渡航して1週間、観光スポットでの集合写真や民族舞踊を楽しむようす、食事のときのスナップなどを撮りました。

4台の大型観光バスで回ったのですが、なにせ撮影するのは僕1人なので集合写真を首尾よく行うためには前もって現場で構えておかなければいけない。バスを先に降りてアルミ製カメラバッグと三脚を背負って撮影スポットまで走り、背景がうまく収まるようにセットして「みなさん、こちらですよ」と誘導して撮影する。そして次のバスに「こちらですよ」と、これを4回。終わればまた次のスポットに移動しての繰り返しです。この時はさすがにキツくて帰国後、しばらく体が全く動かない状態になったのを覚えています。

スリランカはサファイアが有名で、どこのお店に寄ってもサファイア、サファイア、サファイア。多くの日本の方が現地のサファイアを買われていましたね。宝石に加えて南国情緒に仏教遺跡も多く、高度成長期の日本ではスリランカ観光がブームとなり、農協ツアーなど多くの団体が訪れていました。その状況をみて「ここにカラーの現像所を作ったらおもしろいだろうな」と思ったことを覚えています。日本人観光客に現地でカラー写真を売ればビジネスになる、と。