批判と祝福 中東諸国、ライシ師勝利への反応

18日、テヘランの投票所で手を振るライシ師(AP=共同)
18日、テヘランの投票所で手を振るライシ師(AP=共同)

【テヘラン=佐藤貴生】イラン大統領選でライシ司法府代表(60)が圧勝したことを受け、中東諸国の反応は批判と祝福に二分された。イランで反米の保守強硬派政権が発足するのは8年ぶりで、各国の立場の違いが浮かび上がった。

ロイター通信によると、イランと敵対するイスラエルのベネット首相は20日、ライシ師を「残酷な死刑執行人」と呼んで敵意をむき出しにした。ライシ師が1980年代、イランで政治犯数千人に死刑判決を出した判事の1人とされることを指しているとみられる。ベネット氏はイランが核兵器を保有することは許さないとし、2015年のイラン核合意に反対する意向を強調した。

アラブ首長国連邦(UAE)の事実上の指導者であるムハンマド皇太子は、ライシ師に祝福のメッセージを送った。UAEは昨年、イスラエルと国交を正常化したが、イランとはホルムズ海峡を挟んで間近に位置しており、良好な関係を維持したいとの思惑がうかがえる。

シリアのアサド大統領は「意思を砕こうとする計画や圧力に対するイラン人の固い意志」が示されたとし、欧米への対抗を念頭にイランと協調する意向を示した。イラクのカディミ首相はライシ師に電話で祝意を伝えた。両国ではイランと連携するイスラム教シーア派の民兵組織が大きな影響力を持っている。一方、トルコのエルドアン大統領も協力強化を求める書簡を送った。

また、5月にイスラエルと軍事衝突したパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスや、イエメン内戦でサウジアラビアと戦っているシーア派系民兵組織フーシ派は、祝福するメッセージを出した。いずれもイランから武器などの支援を受けているとされる。