池袋暴走事故公判詳報

(4)遺族「あなたは人間の心を持っていない」 飯塚被告は沈黙多く

松永さん「刑務所に入ってほしい理由は何だと思いますか」

《飯塚被告は「最愛の2人を亡くされた苦しみと悲しみを…」と、言いかけたところで沈黙した。言葉がもつれているようで、はっきりとした返答とはならなかった》

松永さん「有罪のとき控訴をするか」

飯塚被告「分かりませんが、なるべくしないようにと思っています」

《松永さんは疲れたように「私からは以上です」と言って、質問を終わらせた》

《その後、被告人質問は亡くなった真菜さんの父、上原義教さん(63)に代わった。上原さんは時折声を詰まらせながら、飯塚被告に語り掛けるように質問を始めた》

上原さん「いろいろと質問されて答えてきたが、あなたは人間の心を持っていないのかと。『私が悪かったです』と、過ちを認めないことに、悲しみと怒りを覚える。あなたは(これまで)立派な仕事をして、そして生きてきた。その人が自分の過ちを認めない。『自分が車に乗って殺した。私がすべて悪かったです』と、そう謝れば私たちの苦しみや悲しみはもう少しは違ったかもしれない。事故から何年たったか分かりますか」

飯塚被告「2年です」

上原さん「(その間)あなたはどう生きてきましたか」

《飯塚被告は自分の持病のことやそのリハビリに専念してきたこと、亡くなった2人の月命日には線香を上げていたことなどを話した》

飯塚被告「無罪を主張するのは心苦しい。決して、ご遺族の苦しみと悲しみを理解していないわけではない」

上原さん「あなたの話は全部自己中心的だと思う。あなたが私と逆の立場だったらどうか。ずっと車のせいにして、裁判を続けている。あなたなら許せるのか」

《上原さんは語気を強めながらこう問いかけたが、弁護側から「仮定的かつ、意見になっている。事実を聞くようにお願いします」との指摘があった。法廷は少しの間、誰も発言せず静寂が訪れた。飯塚被告もうつむき加減で言葉を発しない。裁判長が上原さんに、「お気持ちは分かるが、事実を聞くのが被告人質問の趣旨ですから」と、諭すように言った。上原さんは再び質問を始めた》

上原さん「あなたは今まで、真菜と莉子をひいて反省していない。悪いと思っていないのですか」

飯塚被告「前にも申しましたけども、2人が亡くなったことについては本当に悔やんでおります。車でなければ事故は起こらず、2人の命もそのまま大丈夫だったわけですから。本当にその点は申し訳なく思っています」

《飯塚被告は、ここでも車自体に問題があったかのような返答をした》

(5)被害者父「心の底からの『ごめんなさい』を」に続く