オンキヨーAV譲渡 気になる御三家パイオニアの行方

アンプに強みのあるオンキヨーは27年にパイオニアのAV機器事業を買収後、両社の強みを合わせながら、ハイレゾ音源の音楽配信やオーディオに特化したパソコンの商品化など、音質にこだわった製品づくりを進めた。しかし、オーディオ業界の衰退を止めることはできなかった。

オンキヨーは26年3月期から5年連続で最終赤字となり、経営再建のため令和元年5月にも米オーディオメーカーへのAV事業売却を試みたが破談。今年5月26日に、シャープと米オーディオメーカー、ヴォックスインターナショナルの合弁会社にAV機器事業を33億円で譲渡することで契約を締結したと発表した。6月25日の株主総会での承認を経て、7月1日に事業譲渡を実行する予定。

オンキヨーは2年3月期から2期連続の債務超過となり、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触し、7月末ごろに上場廃止となる見込みだ。オンキヨーは事業譲渡に至った理由を「このまま自らの力のみで事業運営を続けていくことはもはや困難」と説明した。

重厚な音楽文化根付かず

今回の事業売却でオンキヨーとパイオニアのブランドはどうなるのか。オンキヨーは売却先のシャープと共同で、生産効率化を目的に平成20年からオーディオ製品の部品を製造するマレーシアの工場に共同出資しており、ヴォックス社には米国でのオーディオ販売を委託するなど関係が深い。

事業を引き受ける合弁会社でシャープは生産を担当し、ヴォックス社が販売を担う。オンキヨーとパイオニアのブランド存続についてはヴォックス社の意向も関わるため、シャープは「さまざまな可能性を検討する」と明言を避けたが、オンキヨー側は「ブランドを残す方向で事業譲渡の協議を進めた。パイオニアも含めてそうなるものと考えている」とする。

ただ、事業譲渡でブランド存続の可能性は残されたものの、自宅などで高品質の音楽を楽しむための国産オーディオ市場の厳しさは増す一方だ。電子情報技術産業協会の統計によると、オーディオ関連機器の国内出荷額は平成12年の3786億円から、令和2年は802億円まで落ち込んだ。

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