主張

骨太方針 コロナ克服の確信持てぬ

政府が経済財政運営の指針「骨太の方針」を閣議決定した。デジタル化や脱炭素化などを成長の原動力とし、経済安全保障を新たな課題としたことなどが特徴だ。

新型コロナウイルス禍ではっきりした経済・社会の課題を克服し、同時に世界の潮流を見据えた政策展開でコロナ後の成長につなげるのが狙いだ。

残念なのは施策の羅列が目立つことだ。何が最優先であり、財源を含めてどこまで実現可能性があるのかが総じて判然としないのである。むしろ、各省庁が予算を獲得したい項目を詰め込んだ印象が強い。衆院選を視野に入れて聞こえのいい施策を並べたのなら、コロナ克服の確信は持てない。

コロナ禍の今は時代の転換点である。菅義偉政権が目指すべき国家像を明確にした上で、実効性のある施策を峻別(しゅんべつ)し、確実に具体化することが大事だ。そのための大胆な戦略と行動を求めたい。

コロナ対応では、医療提供体制の確保やワクチン調達などで後手に回ることが多かった。このため、より強力な司令塔の下で緊急時に対応することや、実効性のある対策を講じられるよう法的措置を検討することなどが盛り込まれた。あらゆる感染症有事に備えて体制整備を急ぐべきは当然だ。

成長の原動力はデジタル化と脱炭素化のほか地方創生と少子化対策の4つだ。菅政権以前から重点的に取り組んだものの、成果が不十分だったものばかりである。

後はないとの危機感で経済社会を変革するというなら抜本的な改革を実行に移すことが肝心だ。例えば少子化対策では、安定財源確保のため「社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み」を検討するとしたが、その具体像を早急に明確にすべきである。

物足りないのは財政運営の方向性がみえないことだ。コロナ禍で大規模な財政支出が必要なのは当然だが、平時に戻ったとき悪化した財政赤字にどう対応するか。欧米が財政出動とともに財源確保策も示しているのとは対照的だ。

令和7年度に基礎的財政収支を黒字化する目標の達成は極めて困難だ。骨太は、この目標を堅持した上で、今年度中にコロナ禍に伴う影響を検証し、目標年度を再確認するとしたが、これでは論議の先送りである。何のための骨太かを見つめ直した方がいい。