主張

新大西洋憲章 米英と協調し「民主」守れ

バイデン米大統領とジョンソン英首相が、先進7カ国首脳会議(G7サミット)に先立って会談し、中国、ロシアに対抗することを念頭に民主主義勢力の結集をうたった合意文書「新大西洋憲章」を発表した。

米英両国は1941年8月に、当時のルーズベルト大統領とチャーチル首相が第二次大戦後の世界秩序構築をにらんで「大西洋憲章」を発表した。新憲章はこれを刷新するかたちをとった。

80年前の大西洋憲章はナチスドイツとの戦争を、今回の新憲章は専制主義の中国やロシアとの対峙(たいじ)を想定したものだ。

新憲章は「民主主義の価値を共有する全てのパートナーと緊密に協力する」「われわれの同盟や制度を弱体化させようとする試みに立ち向かう」とうたった。

バイデン大統領は新憲章について「今世紀の脅威に言及した」と述べた。米英両国が先の大戦時の重要文書になぞらえて、中露と対峙する新憲章を打ち出した意味合いは極めて大きいといえる。

民主主義の国は個人の権利を重んじ、政策の決定、遂行に一定の時間がかかる。新型コロナウイルス感染症を強権的な手法で抑え込んだ中国政府は共産党独裁体制の方が優位にあるとして民主主義をそしっている。ロシアはサイバー攻撃で欧米諸国の選挙に介入し、民主主義を攻撃している。

新憲章を発表した米英首脳はG7サミット、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に臨み「中国抑止」へ論議を導いた。日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想は、新大西洋憲章の目指す秩序と同じ方向にある。日本は米英と協力し自由と民主主義、国際秩序を守っていきたい。

旧ソ連は41年9月に大西洋憲章に加わった。同憲章にある領土不拡大の原則を盛り込んだカイロ宣言(43年12月)に旧ソ連は名を連ねなかったが、カイロ宣言履行を約束したポツダム宣言には45年8月に参加した。日本のポツダム宣言受諾後に旧ソ連は北方領土に侵攻し、ロシアが今も不法占拠している。大西洋憲章の領土不拡大原則に反する重大問題である。

新大西洋憲章も「領土の一体性の尊重」をうたった。中国が尖閣諸島(沖縄県)を奪えば日本の領土の一体性が侵される。日本は米英とも連携して、中国の尖閣侵略の野望を挫(くじ)くべきだ。