B-1王者「シロコロ」名称騒動は今 コロナ禍「厚木ホルモン」で活路

この1年は、コロナ禍も経営に追い打ちをかけた。市内にある提供店の一つ「おひさま」は、土日の昼間のみの営業に変更するなど、追い詰められている。店主の鮫島さち子さん(71)は「店を開けていても客が全然来なくて、1、2組だけの日もある。今は協力金でしのいでいるが、いずれ店じまいも考えなければならないかもしれない」と嘆く。

騒動でイメージ悪化

提供店を筆頭に、通常なら営業しているはずの時間帯に閉まっている店舗が目立ち、厚木の飲食店街は閑散としている。提供店の一つ「千代乃」の店主、島津英俊さん(70)は「コロナが収束するまで耐えるしかない」と話し、諦め顔だ。

神奈川県厚木市内で提供される豚ホルモン。「シロコロ」の名称で平成20年のB-1グランプリに輝いた(外崎晃彦撮影)
神奈川県厚木市内で提供される豚ホルモン。「シロコロ」の名称で平成20年のB-1グランプリに輝いた(外崎晃彦撮影)

平成18年に始まり、ご当地グルメブームを巻き起こしたB-1グランプリ。全国各地の参加団体がこぞって商品の発掘や開発に勤しむなか、厚木市の「シロコロ」は「富士宮やきそば」(静岡県富士宮市)や勝浦タンタンメン(千葉県勝浦市)などと並び、全国に名をとどろかせた成功事例の一つだった。

「名物」を新たに創作する参加団体も少なくなかったが、厚木のホルモン焼きは、もともと地元で伝統的に食されてきた名物だった。そこに「シロコロ」の名称が〝後付け〟され、20年大会の優勝で一躍有名になったという経緯がある。

食を通じたまちおこしに一度は大きな成功を収めたものの、一転してイメージの悪化を招くという結末に、多くの市民や行政関係者が複雑な心境をのぞかせる。ある関係者は「商標権のトラブルでイメージが悪化した。元のもくあみどころか、宣伝しにくくなった分、元より悪い」と話し、「個人のビジネスに店舗や行政など多くの関係者が振り回された」と憤る。

ホルモン全体をPR

一方、「シロコロ」の名称になお愛着を示す関係者も。「名前は今でも通じるし、会話のなかで使う分には問題ないでしょう」と話すのは、「シロコロ」のPRに当初から関わったという市議の一人。「みんなが一丸となっていた時代が懐かしい」と目を細める。

新たな動きも見られている。市は新しいパンフレットなどで「厚木ホルモン」という名称に切り替えてPRを始めた。観光振興課の担当者は「厚木は豚のまち。(大腸の)シロだけでなく、レバーやハツなど、ホルモン全体を売り出していく。新しいネーミングで、名物としての存在感を高めたい」と意気込む。

多くの関係者を巻き込みながら、痛手を負うこととなった「シロコロ騒動」。今後、まちおこしを進める中で行政は、市民とのかかわり合い方が改めて問われることになりそうだ。(外崎晃彦)

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