【政治月旦】中国を非難できない国会の不思議(1/2ページ) - 産経ニュース

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政治月旦

中国を非難できない国会の不思議

13の民族団体でつくるインド太平洋人権問題連絡協議会主催の《ミャンマー問題を非難する国会決議の成立を歓迎すると共に、「中国における人権問題を非難する国会決議」の今国会における成立を求める共同記者会見》で登壇した民族団体のメンバー。(左から)同協議会の石井英俊事務局長、在日チベットコミュニティーのテンジン・クンガ氏、日本ウイグル協会理事のグリスタン・エズズ氏、世界モンゴル連盟のチメド・ジャルガル氏、 香港の民主活動家のウィリアム・リー氏。
13の民族団体でつくるインド太平洋人権問題連絡協議会主催の《ミャンマー問題を非難する国会決議の成立を歓迎すると共に、「中国における人権問題を非難する国会決議」の今国会における成立を求める共同記者会見》で登壇した民族団体のメンバー。(左から)同協議会の石井英俊事務局長、在日チベットコミュニティーのテンジン・クンガ氏、日本ウイグル協会理事のグリスタン・エズズ氏、世界モンゴル連盟のチメド・ジャルガル氏、 香港の民主活動家のウィリアム・リー氏。

16日に閉会した通常国会で、焦点の一つだった中国の人権侵害などを非難する決議の採択が見送られた。自民党の保守系議員を中心に各党に賛同が広がり、かなり前から決議案が用意されていた。だが、結果的には「中国の人権侵害を批判できない国」であることを露呈する格好となった。

実現できなかった理由として、与党幹部らは①国会日程が窮屈②決議は全会一致が原則なので難しい③人権侵害の証拠が確認できない-の3つを挙げる。

だが、①が理由にならないのは明らかだ。昨年11月、自民党有志の「日本ウイグル国会議員連盟」(古屋圭司会長、現在は超党派議連に改組)は新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権状況改善を求める国会決議の採択を目指す方針を確認。米政府が今年1月、中国がウイグル人などの少数民族にジェノサイド(民族大量虐殺)を行っていると認定すると、人権救済を求める声は国際的に広まり、国会決議を求める機運も高まった。

つまり時間は十分あったのだ。自民党の二階俊博幹事長が会期末が近づいた6月7日になって「まだ関係者から十分、意見を聞いていない」と述べたのには、首をかしげるしかない。

2月に国軍のクーデターが発生したミャンマーをめぐる非難決議は、中国の人権侵害よりも遅れて俎上(そじょう)に載ったものの、6月8日には衆院で可決された。つまり、時間のあるなしの問題を超えて、中国非難決議の方には強く抵抗する力が働いたということだ。

②の「全会一致」は、あくまでも原則でしかない。今回、最後まで積極的な動きを見せなかった公明党の石井啓一幹事長は11日の記者会見で「国会決議は全会賛成が前提」と述べた。しかし、共産、社民両党が反対した平成24年8月の「李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領の竹島上陸と天皇陛下に関する発言に抗議する決議」など、全会一致に至らず行われた決議はかなりある。

7年6月の「戦後50年決議」に至っては、当時野党第一党の新進党のみならず、与党の自民、社会両党からも反対者が出た。このため議員総数の半数に達しない賛成で採択という、立法府の意思を示したとはいえない結果となった。

では③の理由はどうか。確かに中国政府は人権侵害を真っ向から否定しており、在日ウイグル人らが悲痛な訴えを重ね、メディアがその実態を報じても、日本政府が直接、現地で人権侵害を確認したわけではない、というわけだ。

自民党幹部は「新疆に大使館はない。報道のことしか分からない」と語る。「証拠がない」と胸を張りたいのかもしれないが、過去には同様の事案でも決議が行われてきた。