TRFのSAMさん 「ダレデモダンス」次の一手は

「ダレデモダンス」をさらに発展させて広げたいと話すTRFのSAMさん=17日午後、東京都渋谷区(兼松康撮影)
「ダレデモダンス」をさらに発展させて広げたいと話すTRFのSAMさん=17日午後、東京都渋谷区(兼松康撮影)

ダンスボーカルグループ「TRF」のダンサー、SAMさん(59)が、健康寿命の伸長などを目的に平成28年から普及活動を進める「ダレデモダンス」のワークショップを7月から再開する。人間の老化現象を多面的に研究する「ジェロントロジー」の要素も加え、さらに幅広い層への発信を目指すというSAMさんに、ダレデモダンスの「次の一手」の展望を聞いた。

ダレデモダンスのワークショップは対面形式で全国で開催していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止せざるを得ない状況が続いた。代わりに、自宅でできる運動やダンスのプログラムを考案、動画投稿サイト「ユーチューブ」で発信を重ねた。ただ、参加者と直接向き合うことができない現状にもどかしさも感じていた。

そうした中で、「さらにダレデモダンスを発展させたい」と考え、ジェロントロジーを学ぶことにした。米南カリフォルニア大の60のテーマに分かれた講義を動画で視聴し、テストも受け、昨年5月に課程を修了したという。

「ジェロントロジーの内容は本当に多岐にわたる。エクササイズなどはこれまでもやってきたので楽しかったが、疾患などについて学ぶのは骨が折れた」

学んだ内容は、ダレデモダンスのワークショップにどう生かすつもりなのか。

「これまでのワークショップでも『ダンスをして身体が軽くなった』などと実感する参加者は多かったが、今後は(ダンスの動きなどによる利点を)言葉でより具体的に伝えることができる」とSAMさんは強調する。「人は誰しも年老いるが、それをどう捉えるのか。どうせ老化するなら、あるがままに受け入れ楽しく老いたい」とも。

ダレデモダンスには、運動能力だけでなく、音楽に合わせてリズムや振り付けを覚えたりする脳の働きも必要だ。さらに、ワークショップは外に出るきっかけになるため、アクティブなシニア層を増やすことにつなげたいという。

埼玉県の旧岩槻市(現さいたま市岩槻区)出身のSAMさんは、ウオーキングで健康づくりを進める同県の取り組み「コバトン健康マイレージ」のPR大使に就任するなど、健康や長寿に関する故郷の自治体の施策にも積極的にかかわっている。ダレデモダンスのワークショップは、7月28日には岩槻区でも開催する。

ジェロントロジーに加え、「食と老化の関係も深いので、さらに勉強していきたい」と語るSAMさん。所属するエイベックスなどとともに、認知症に特化したダンスのプログラムDVDを発売する予定もあるという。

自身は来年1月に還暦を迎えるが、「ダンスの世界の先輩はみなしっかりしていて刺激を受けるし、勇気もわく」と笑う。

「20歳を過ぎれば老化は始まる。シニアだけでなく、若い人も自分の体を使う時間を増やしてほしい」(兼松康)

会員限定記事会員サービス詳細