中国に批判的な報道で知られる香港紙、蘋果(ひんか)日報への弾圧が強まる中、香港では18日、多数の市民が同紙を買い求めるなど支援の動きが広がった。しかし親中派勢力は香港国家安全維持法(国安法)を武器に、同紙を発行停止に追い込む構えを崩していない。香港の「報道の自由」は風前のともしびだ。
香港メディアによると、繁華街の旺角(モンコック)では18日未明から、蘋果日報を買い求める市民の行列ができた。ある店では未明のうちに1800部を完売。いつもの20倍以上という。1人で50部買った客もいたらしい。
同紙は今回、1面に「みんな踏ん張ろう」との見出しを掲げ、通常の約6倍に当たる50万部を発行した。
一方、香港当局は18日、国安法違反容疑で前日逮捕した蘋果日報の羅偉光総編集(編集局長)と、同紙を傘下に持つメディアグループ「壱伝媒」の張剣虹最高経営責任者(CEO)を同法違反で起訴した。
昨年6月30日の国安法施行後、自己規制が広がる香港では、大手紙の中で、中国資本が入っていない蘋果日報だけが中国を直接批判してきた。産経新聞が昨年7月1日、国安法の施行を受けて「香港は死んだ」との見出しの記事を掲載した際、これを写真付きで紹介したのも蘋果日報だった。