阪神Vを占う「代打の神様」八木の目(下)

救世主は中継ぎ・藤浪

交流戦で登板した藤浪晋太郎。救援陣の柱となれるか=甲子園球場(撮影・水島啓輔)
交流戦で登板した藤浪晋太郎。救援陣の柱となれるか=甲子園球場(撮影・水島啓輔)

セ・リーグ首位の阪神が16年ぶりのリーグ優勝を果たすために必要なのは何か。現役時代に「代打の神様」として活躍したサンケイスポーツ専属野球評論家の八木裕氏(56)は「今後のペナントレースで、まだまだ山場が多くある」と見る。

交流戦明けの18日から、本拠地の甲子園球場で行われる巨人との3連戦は極めて重要になる。ここで3連勝すれば一気にゲーム差が開き、その後の試合に余裕を持って臨める。逆なら、精神的に追い込まれる。

不吉なデータを持ち出すのは本意ではないが、2リーグ分立(1950年)以降、阪神は巨人と直接優勝を争って、勝ったことが一度もない。巨人優勝-阪神2位は何度もあるが、阪神優勝-巨人2位は一度もない。こうした過去の歴史を両球団の関係者は知っている。なので、阪神は常に巨人の存在を意識させられ、精神的にきつくなってくる。残り16試合の直接対決(ここまでは阪神の5勝4敗)で、ライバルを圧倒しなければならない。

戦力的なポイントは投手陣だろう。チーム防御率も失点もリーグでは上位にいるが、先発投手から抑えのスアレスにつなぐリリーフ陣の整備が最大のカギを握ると思う。

開幕から好投を続けていた岩崎が交流戦で調子を落とし、再調整のために2軍落ちした。交流戦明けから再登録の方針と聞くが、万全な状態に戻るかは未知数。51試合消化時点で27試合に登板という〝酷使〟がボールから持ち前の切れを奪った。短期間で〝優ボール〟が戻るのだろうか。さらに、リリーフ右腕の小林もソフトバンク戦で打球を処理した際に左足首をひねり、登録抹消となった。

左右のリリーバーを欠いた矢野監督は2軍からエドワーズや小川を昇格させ、穴埋めをもくろんでいる。しかし、岩貞や馬場を含めた中継ぎ陣が不安材料であるのは明白。実際、交流戦ではリードした試合を追い付かれたり、逆転されたりしていた。こうした傾向が続くなら、メルセデスが復帰し、米挑戦を終えた山口俊を獲得するなど、投手陣を再整備した巨人の足音は大きくなる一方だ。

救世主は藤浪だと思う。岩崎が抹消された4日に1軍に昇格した。交流戦では早速、中継ぎで登板。やはり、短いイニングを任せると、150キロ超の直球とスライダー、カットボール、フォークボールが生きる。先発と違い、イニングを長く持たせるための配球やペース配分が不必要になる。力でねじ伏せる藤浪らしさが存分に発揮される。

スアレスにつなぐ重要な役どころを藤浪が担い、大車輪の活躍を見せれば、巨人が戦力を整備してきても、一気にのみ込まれることはない。藤浪にはそれだけの存在感やパワーがある。藤浪-スアレスの継投に、岩崎や岩貞、馬場らを〝加味〟していく投手リレーが完成すれば、他球団の追撃を振り切ってゴールに飛び込めると思う。優勝への唯一最大のキーパーソンは、藤浪だと思っている。(取材構成=特別記者・植村徹也)