中国が飛行士3人打ち上げ 独自宇宙ステーション建設加速へ

有人宇宙船「神舟12号」を搭載して打ち上げられる運搬ロケット「長征2号F遥12」=17日、中国・酒泉衛星発射センター(新華社=共同)
有人宇宙船「神舟12号」を搭載して打ち上げられる運搬ロケット「長征2号F遥12」=17日、中国・酒泉衛星発射センター(新華社=共同)

【北京=三塚聖平】中国は17日午前9時22分(日本時間同10時22分)、北西部にある酒泉衛星発射センターで、国産運搬ロケット「長征2号F遥12」を使用して有人宇宙船「神舟12号」を打ち上げた。搭乗した宇宙飛行士3人は、中国が建設を進めている独自の宇宙ステーションに3カ月間滞在する。

中国共産党創立100年を7月に控える中、習近平指導部は国威発揚につなげる考えだ。

中国は、独自の宇宙ステーション「天宮」を2022年前後に完成させる計画。4月に宇宙ステーションの中核施設「天和」を打ち上げ、5月には無人宇宙貨物船「天舟2号」とドッキングに成功した。神舟12号は、地球周回軌道で天和とのドッキングを行う。

飛行士3人は人民解放軍所属の40~50代の男性。

習指導部は「宇宙強国」を目標に掲げ、自国主導の宇宙開発を積極化させている。日本や米国など15カ国が参加する国際宇宙ステーション(ISS)は老朽化が進むが、中国はISSに参加しておらず、独自の宇宙ステーションを武器に宇宙分野で国際的な存在感を示す考えとみられる。

ハイテク分野をめぐり米国との対立の長期化が見込まれる中で、宇宙開発でも対抗姿勢を見せている。

ただ、中国の宇宙開発をめぐっては、5月上旬に大型ロケット「長征5号B」の残骸が大気圏に再突入しインド洋に落下。米航空宇宙局(NASA)が、中国の安全対策や情報の透明性について「責任ある基準を満たしていないのは明らかだ」と批判している。

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