コロナ その時、

(33)広がる変異株「第4波」の足音 2021年3月18日~

コロナその時【第33回年表3月後半】
コロナその時【第33回年表3月後半】

首都圏で平年より早い桜が見頃を迎えていた3月21日、2度目の緊急事態宣言が全面解除された。だが、飲食店などの時短要請が緩和され、自粛疲れの人々の間で「緩み」もみられ、新型コロナウイルスのリバウンド(感染再拡大)傾向が鮮明になった。変異株が主流となる感染の「第4波」が足元に迫っていた。

緊急事態宣言が3月21日に全面解除されることが決まった18日、開花が進む桜を見ようと多くの花見客が東京・上野公園を訪れていた。「宴席禁止」の注意書きがあちこちに張られ、「密」を避けるため園内の一部は片側通行となった。

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その夜、菅義偉(すが・よしひで)首相は記者会見で、「歓送迎会などの季節となるが、大人数の会食はお控えいただくようお願いする」と国民に呼びかけた。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県では22日から営業時間短縮要請が午後8時までから同9時までに緩和されたが、千葉県の森田健作知事は「宣言解除は『宴会解禁』ではありません」とくぎを刺した。

「緩み」は政府内でも露呈した。新型コロナウイルス感染症対策の中核を担う厚生労働省の職員23人が、東京・銀座で24日深夜に送別会を開いていたことが発覚。首相の要請が足元から無視された形で、職員の感染が次々判明し、クラスター(感染者集団)化する事態となった。

自治体の営業時短要請に多くの飲食店は従っていたが、東京都は18日、緊急事態宣言下で要請を拒んだ飲食店27店舗に新型コロナ対策の改正特別措置法に基づく全国初の時短営業の命令を出した。これに対し、飲食チェーン「グローバルダイニング」は22日、「見せしめ目的の違法な命令」などとして、都に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

250兆円インフラ投資

ワクチン接種が進んだ米国では経済再生が本格化し、バイデン大統領は31日、8年間で2兆2500億ドル(約250兆円)規模のインフラ投資計画を発表した。

米国のブリンケン国務長官、中国の楊潔篪(よう・けつち)共産党政治局員ら米中の外交トップは18日、米アラスカ州アンカレジで初の直接会談に臨んだ。人権や貿易などの問題で悪化する米中関係を象徴するように、冒頭からけんか腰となったやり取りで、楊氏は「決定的な成果を得た」と新型コロナ対応の成功を誇示。中国の累計感染者数は集計に疑義は残るが米側の300分の1の約10万人にとどまっていた。

新型コロナの起源解明のため中国・武漢を訪れた世界保健機関(WHO)国際調査団の報告書が30日に公表された。報告書は中国の研究所からウイルスが漏洩(ろうえい)したとの説を否定したが、米日豪など14カ国は30日、共同声明で調査への懸念を表明。米国が民主主義の優位性を信じる同盟国とともに、中国の権威主義体制に対峙(たいじ)する構図が鮮明になった。

再び感染者2000人超え

国内では緊急事態宣言の全面解除を受け、年度末もあって人の移動が活発化。全国的に「リバウンド(感染再拡大)」の傾向が明らかになった。

大阪府は29日までの直近1週間で新規感染者は1933人となり、前週の2.2倍に急増。吉村洋文知事は同日、「(感染拡大の)第4波に入った」との認識を示し、飲食店の営業時短などに強制力を持たせる「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用を国に要請する考えを表明した。独自の緊急事態宣言を発令中の宮城県も24日、過去最多の171人の感染を確認。全国では26日に2013人と、2月6日以来となる2000人超えを記録。大都市を中心に増加に歯止めがかからない状況だった。

厚労省は31日、感染性が強いとされる変異株の感染者が前日までに34都道府県で確認されたと発表。厚労省に新型コロナ対策を助言する専門家組織は同日の会合で、特に大阪について「変異株の報告も増加しており、速やかに適切な対応を行うことが求められる」と指摘した。

政府は31日、大阪、兵庫、宮城の3府県に初の蔓延防止等重点措置を適用する方針を固めたが、感染を封じ込められるか懐疑的な見方もあった。コロナとの戦いと共生を模索する道はなおも続く。

「コロナ その時、」は、感染収束が見通せないまま緊急事態宣言を解除した3月までを振り返ってきました。変異株が広がる「第4波」が猛威を振るい、東京五輪を目前に3度目の宣言に突入する4月以降の検証は後日、再開します。

(32)2021年3月1日~ ワクチン接種混乱、変異株で死者

(34)2021年4月1日~ 高齢者に接種開始 初の蔓延防止

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