【ジュネーブ=黒瀬悦成、小野田雄一】バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は16日午後(日本時間同日夜)、ジュネーブで初めて直接会談し、バイデン氏はロシアによる選挙干渉や、米政府機関や米経済権益に対するサイバー攻撃を決して容認しないとの立場を伝える。プーチン氏は米露関係の「戦略的安定」のため核軍備管理の推進を提唱するとみられる。
バイデン氏は今回の初外遊で先進7カ国首脳会議(G7サミット)や北大西洋条約機構(NATO)首脳会議などに出席し、自由や人権などの価値観を共有する先進諸国や同盟国との団結を確認した。米露首脳会談は一連の流れを踏まえ、民主主義勢力を脅かす権威主義体制のトップと対面で初めて相まみえる「メインイベント」。
バイデン政権高官が15日、同行記者団に語ったところでは、会談はレマン湖畔(こはん)の歴史的建造物「ビラ・ラ・グランジュ」で行われ、ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相が同席。会談は約4、5時間、またはそれ以上の「マラソン会談」になる見通しだが、両首脳が食事を共にする予定はないという。
両首脳による会談後の共同記者会見も行わず、2人が個別に記者会見することも取り決められた。共同声明などの成果文書を発表するかは未定としている。
米露の高官は、会談では両国間のあらゆる懸案に関し話し合うとしている。
バイデン政権高官は、米露の核軍縮の分野で、2026年に再び期限切れを迎える新戦略兵器削減条約(新START)に関してより限定的または別種の軍備管理合意が模索されるとしている。会談ではその方向性がどこまで具体化されるかが注目される。
サイバー攻撃をめぐり、バイデン氏はロシア政府が直接関与したと見なした場合に「対抗措置をとる」と言明するとみられる。
一方、ウシャコフ露大統領補佐官は15日の記者会見で、米露双方が相手の外交官を国外追放した問題も協議すると指摘。外交活動の円滑化に向け、双方の外交官を互いに復帰させることで合意する可能性もある。