4月に菅義偉首相が訪米する少し前、新彊(しんきょう)ウイグル自治区などをめぐる中国当局の人権侵害を非難する国会決議の動きは「採択時期の見直し」という奇妙な理屈でいったん頓挫した。
この時点で決議は難しくなる予感がした。行政府ではなく立法府による意思表明とはいえ、菅首相がバイデン大統領に初めて会いに行こうかというタイミングである。中国への忖度(そんたく)が勝り、同盟国の議会としての体裁は保てなかった。そしてまた、同じことが繰り返される。これは、国会のみならず菅首相が率いる自公連立政権の問題である。
諸外国や国際会議が中国の人権問題を取り上げると、中国政府はすかさず、非難に倍する勢いで反論する。英国での主要7カ国首脳会議(G7サミット)が声明で台湾、ウイグル、香港に言及したことにも、予想通りの反発をみせた。