金正恩氏が食糧切迫に危機感 北で朝鮮労働党中央委総会

朝鮮労働党中央委員会総会に臨む北朝鮮の金正恩総書記=15日(朝鮮中央通信=共同)
朝鮮労働党中央委員会総会に臨む北朝鮮の金正恩総書記=15日(朝鮮中央通信=共同)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮で朝鮮労働党の中央委員会総会が15日、開幕した。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は「人民の食糧事情が切迫している」と危機感を表明し、農業問題の解決に向けて党と国家の総力を傾けるよう指示した。朝鮮中央通信が16日に報じた。会議は続くとしており、16日も討議が行われたもようだ。

総会では、新型コロナウイルスをめぐる非常防疫体制の長期化への対応策も論議されたほか、現国際情勢への党の対応方針も議題に上っている。バイデン米政権が北朝鮮政策の見直しを終え、北朝鮮に対話を呼び掛ける中、北朝鮮が新たな対米方針を明らかにするのかが注目される。

金氏は「現在われわれの前に横たわる隘路(あいろ)と難関」によって国家計画と政策の遂行過程で困難が生じているとし、特に昨年の台風被害で穀物生産計画が目標に達しない現状を認めた。

国連食糧農業機関(FAO)は14日、北朝鮮で昨年の水害などが影響し、100万トン以上の食糧が不足するとの見通しを示した。輸入分を充てても約86万トンが足りないと試算する。

北朝鮮がコロナ対策として昨年1月から国境を封鎖する中、今年3月以降は、中国との海上輸送を解禁し、肥料を優先的に輸入していることも食糧生産への切迫感の表れとみられる。

会員限定記事会員サービス詳細