熱気なく冷めたムード イラン大統領選18日投票 - 産経ニュース

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熱気なく冷めたムード イラン大統領選18日投票

15日、イラン大統領選でライシ司法府代表への投票を呼びかける多数の垂れ幕。街中ではライシ師のポスターばかりが目につく=テヘラン中心部(佐藤貴生撮影)
15日、イラン大統領選でライシ司法府代表への投票を呼びかける多数の垂れ幕。街中ではライシ師のポスターばかりが目につく=テヘラン中心部(佐藤貴生撮影)

【テヘラン=佐藤貴生】4年に1度のイラン大統領選が18日に行われる。反米の保守強硬派であるライシ司法府代表(60)がリードする選挙情勢に変化はない。欧米との対話に前向きな穏健派や改革派の有力者が出馬を阻まれて選挙は熱気に欠け、投票率は低迷する可能性が大きい。

首都テヘランではライシ師の選挙ポスターばかり目につき、反米保守陣営の支持の厚さが際立っている。

テヘラン西部で15日、ライシ師の支持者集会が開かれた。会場を訪れた大学生のエルファンさん(21)は「ライシ師は司法府で汚職を撲滅して実績を挙げた。大統領になれば経済は上向くと思う。ロウハニ大統領は経済再生などを約束したが、何もできなかった」と話した。

4年前の前回選で勝利したロウハニ師は、イランが核開発を制限し欧米と核合意を結べば、それまでに科された制裁が解除されて経済は好転すると主張していた。しかし、トランプ前米政権が2018年に核合意を離脱して制裁を再開。イランの通貨リアルの価値は対ドルで7割前後も急落し、経済は悪化した。

市民は苦しい生活を強いられており、テヘランで取材した多くの人がロウハニ師を批判した。ただ、ライシ師の人気も高いとはいえない。

反米保守の牙城である軍産複合体の「革命防衛隊」を嫌う人々は、同隊と親密な関係にあるライシ師の政治手法に懸念を抱く。書店経営の男性(70)は「彼が大統領になったら革命防衛隊と組んで恐怖政治が強化され、抑圧が深刻化する。国際社会と和解するかも疑問だ」と話した。

冷めたムードが広がっているのは、穏健派や改革派の候補が門前払いされたことも一因だ。ライシ師の対抗馬と目された穏健派のラリジャニ前国会議長は、候補の適格性を判定する「護憲評議会」の審査で失格となり、立候補が認められた7人のうち5人は保守強硬派が占めた。評議会は最高指導者ハメネイ師の影響下にあり、同師の意向が反映されたと見る向きもある。

16日には改革派の候補1人が撤退を表明、保守強硬派に対抗するため穏健派のヘンマティ前中央銀行総裁に候補を一本化した。

改革派を支持する靴店経営の男性(36)は、「今回の候補は誰も信用できず、投票はしない」と話した。他にも、「候補者はみな噓つき」「投票したところで何も変わらない」といった意見が聞かれた。

投票率は1979年のイラン革命以降で初めて、50%を割り込む可能性が指摘される。大統領選の投票率は、革命体制に対する国民の信任の指標という面があり、指導部は危機感を強めているともいわれる。