首相、初のG7 五輪・中国で成果

13日まで英コーンウォールで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は菅義偉(すが・よしひで)首相にとって、初めて対面で出席する多国間(マルチ)会合となった。首相は全首脳から来月に迫った東京五輪・パラリンピック開催への支持を取り付け、一定の成果を上げたといえる。焦点の中国についても首脳宣言に日米が働きかけた「台湾」が明記されるなど、G7として認識を共有した。

「オフコース・アイ・サポート・ユー(もちろん、あなたを支持する)」

バイデン米大統領は12日、万全の感染対策を講じ、安全・安心な東京五輪を実現すると話した首相に、こう応じた。2024年パリ五輪を予定するフランスのマクロン大統領も首相との会談で、東京五輪の開会式出席を「楽しみにしている」と話すなど、各国から開催に好意的な声が相次いだ。

東京五輪に関し、首相は初日の11日の最初の会合で、自ら開催の決意を語り、各国首脳に「強力な選手団を派遣してほしい」と呼びかける力の入れようだった。その直前には、ロンドン市長時代に五輪を成功させたサミット議長のジョンソン英首相とも会談し、準備に余念がなかった。

外務省幹部は「五輪にどこまで言及するかは首相が判断する」と話していたが、国内で反対論が根強い中、開催に向け、国際的な機運を醸成したい狙いがあったとみられる。政府関係者は「欧米の首脳が東京五輪の開催に疑念を持っていないことが改めて証明された」と強調する。

中国をめぐっても、首脳宣言に日米両国が求めた「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛り込まれた。同様の文言は首相とバイデン氏が4月にワシントンで会談した際の共同声明に明記した。首相が5月下旬に欧州連合(EU)首脳との協議を行った際の共同声明にも盛り込んでおり、日本として流れを作るのに貢献したといえる。

欧州諸国は伝統的にロシアや中東・アフリカ地域への意識が強く、中国との距離感も日米とは異なる。ただ、日本にとって、中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海侵入や「台湾有事」は安全保障上の脅威で、G7が認識を共有したことは大きい。外務省幹部は「(台湾を)国際的な問題にする必要がある」と説明する。

新型コロナウイルスの感染拡大後、国際会議は軒並みオンライン開催になり、昨年9月に就任した首相にとって今回のサミットは初の対面でのマルチの会議だった。

外相などの経験がなく、英語も堪能でないため、安倍晋三前首相などと比べ、外交手腕が未知数との見方もあったが、首相はサミット閉幕後、同行記者団に「率直に意見交換をできた」と自信を見せた。

もっとも、記念撮影やエリザベス英女王との懇談など首脳だけが参加する行事では、欧米の首脳が親しげに会話をかわしていたのに対し、初参加の首相が1人で歩く場面も見られた。

首相としては、今後、各国首脳と関係を構築し、国際社会でいかに存在感を発揮していくかが課題になる。(コーンウォール=英南西部 田村龍彦)