13日閉幕した英南西部コーンウォールでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)は新型コロナウイルス対策や中国への対抗のため、人権や民主主義などの価値観に基づき、リーダーシップを発揮する姿勢を打ち出した。首脳声明の詳報は以下の通り。
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われわれは新型コロナウイルス感染症に打ち勝ち、より強靱(きょうじん)な回復を果たすとの決意の下、コーンウォールに会集した。パンデミック(世界的大流行)によって命を落としたすべての人を悼み、それを乗り越えようと努力する人々に敬意を表した。彼らが示した協力と決意の模範例に鼓舞されたことで、そもそもにおいてわれわれを結び付けていた信念と責任の共有が、リーダーシップと繁栄の根本であるとの原則で一致団結した。
【新型コロナ】
2022年までにパンデミックを終息させる。そのために必要な世界人口の60%のワクチン接種を加速させるため、安全なワクチンを可能な限り早く、貧困国に届ける。ワクチン供給の国際的枠組み「COVAX」への支援を確認し、向こう1年間で10億回分のワクチンを供与する。
世界的な保健衛生への脅威に対する集団的防護を強化する適切な枠組みを構築するため、▽すべての大陸での医療器具などの生産能力の増強を支援▽早期警戒システムの改善▽安全で効果的なワクチンの開発期間を300日から100日に短縮するための支援-などを行う。
また、新型コロナの起源をめぐり、中国を含め、時宜を得た透明性のある調査の実施を要求する。
【経済回復】
パンデミックの間を通じて表明してきた12兆ドルの支援を生かし、経済回復を前進させる。危機への対応から未来の成長促進に焦点を移しつつ、年齢、民族、性別によって取り残される人や場所がないよう、雇用創出やインフラ投資、技術革新の前進に取り組む。
より公正な税制に向けた議論を継続。国際的な往来を再開するため、世界保健機関(WHO)などの指針の重要性を確認した。渡航者のワクチン接種状況などに関する共通基準の必要性も議論。
【自由で公正な貿易】
自由で公正な貿易への取り組みは、ルールに基づく多国間システムの基本的な原則であり目的。そのために世界貿易機関(WTO)の改革が必要だ。
また、国家の支援によるものを含む、少数民族などに対する強制労働が世界的なサプライチェーン(供給網)に組み込まれていることを懸念。あらゆる形での強制労働から個人を守るための取り組みを進める。
【ネットと宇宙空間】
サイバー空間から宇宙に至る未来のフロンティアを守るために協調するとともに、開かれた社会という価値を支える。透明で安全なインターネットを維持するため、新たな規制の枠組み作りに取り組む。宇宙の持続可能な利用に向け、世界各国に協力を呼びかける。
【地球温暖化、環境】
温室効果ガスの排出量を抑制して世界の気温上昇を1・5度に抑えることを目指すグリーン革命を支持する。50年までに(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)「ネットゼロ」を達成し、30年までの20年間で全体の排出量を半減させることなどに取り組む。排出削減対策を講じていない海外の石炭火力発電への新規支援は年内に停止。
【ジェンダー間の平等】
ジェンダー間の平等を促進することが、より強靭な回復を実現するための柱。