内閣不信任案提出 与野党で思惑一致

菅政権へ不信任決議案を提出することを表明する野党各党の党首(左から)社民党・福島瑞穂党首、共産党・志位和夫委員長、立憲民主党・枝野幸男代表、国民民主党・玉木雄一郎代表=14日午後、国会内(春名中撮影)
菅政権へ不信任決議案を提出することを表明する野党各党の党首(左から)社民党・福島瑞穂党首、共産党・志位和夫委員長、立憲民主党・枝野幸男代表、国民民主党・玉木雄一郎代表=14日午後、国会内(春名中撮影)

16日の国会会期末を目前に控え、内閣不信任決議案をめぐる与野党の攻防が最終盤を迎えた。野党は不信任案を提出しても菅義偉首相による衆院解散・総選挙には直結しないと判断し、提出に踏み切ることになった。一方、新型コロナウイルスワクチンの接種拡大に自信を深める政府与党は本音では選挙を急いでおらず、不信任案を粛々と否決する方針だ。

「菅内閣不信任決議案を4党共同で提出することで意見が一致した。不信任に値する事項はあまた存在している」

立憲民主党の枝野幸男代表は共産党の志位和夫委員長、国民民主党の玉木雄一郎代表、社民党の福島瑞穂党首との会談後、そろって記者団の取材に応じ、不信任案提出の理由をこう強調した。

枝野氏は政府の新型コロナ対応を「戦後最大の危機から国民の命と暮らしを守るという責任感、自覚、危機感が全く感じられない」と強調。志位氏が「国民に長期間にわたる我慢を強いながら東京五輪・パラリンピックを強行しようとしている」と批判すれば、玉木氏も「困窮している家計や事業者への支援が弱い。補正予算を組んで速やかに対応すべきなのに、全くやる気がない」と糾弾した。

7月の東京都議選や秋までに行われる衆院選を前に、政権との対決姿勢を鮮明にするため不信任案の提出を決めた野党だが、枝野氏はかねて煮え切らない態度を見せてきた。

提出は事実上、首相に衆院解散・総選挙を求めるものであり、「新型コロナ禍で野党が政治空白を招いた」との批判を浴びることを懸念したとみられる。

枝野氏は衆院解散について記者団に「内閣の専権事項だ。いつ、どういうタイミングでやるか判断するのは、ひとえに内閣にかかっている」と述べた。首相が万が一、衆院解散に踏み切っても、野党に責任はないと予防線を張った形だ。

ようやく提出を明言した枝野氏だが、その決定までに10、14日と2度も野党党首会談を開いたことに関しては「迫力が感じられない」(国民民主幹部)との不満も出ている。

自民党の二階俊博幹事長は14日、首相と官邸で面会後、不信任案が正式に提出された場合、首相に衆院解散を進言すると述べた。ただ、政府与党内では、二階氏の発言は野党を牽制(けんせい)する「脅し」ととらえる向きが強い。

首相がコロナ収束の切り札と位置づけるワクチン接種の拡大を見据え、与党幹部は「選挙を考えれば任期満了近くの解散が有利だ」と語り、国民の安心感を醸成した上で衆院選に臨みたいとの思惑をにじませた。

一方、不信任案を否決するまで国会審議は止まるため、土地利用規制法案などの成立が危うくなる可能性もある。政府与党はあくまで16日までの会期内に決着させる方針で、野党の抵抗も予想される。(原川貴郎、永原慎吾)