「対権威主義」で意義 再活性化するG7へ転換点

G7サミットで初日の討議に臨む(左端から時計回りに)ミシェルEU大統領、菅首相、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、英国のジョンソン首相、バイデン米大統領、カナダのトルドー首相、イタリアのドラギ首相、フォンデアライエン欧州委員長=11日、英コーンウォール(代表撮影)
G7サミットで初日の討議に臨む(左端から時計回りに)ミシェルEU大統領、菅首相、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、英国のジョンソン首相、バイデン米大統領、カナダのトルドー首相、イタリアのドラギ首相、フォンデアライエン欧州委員長=11日、英コーンウォール(代表撮影)

【ワシントン=黒瀬悦成】英南西部コーンウォールで13日に閉幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、中国やロシアといった権威主義体制への対抗に向けた意義ある枠組みとしての再活性化に向けた結束を確認する場となった。

G7サミットは東西冷戦下の1975年、第1次石油危機を受けて低迷する世界経済にどう対応していくかについて、西側先進諸国が話し合い、政策を調整する場として発足した。

以来、G7は自由や人権の尊重、民主主義といった共通の価値観や、自由市場経済などの共通理念を手掛かりに、意見や立場の違いを乗り越えて経済に加え外交、安全保障などで幅広く連携してきた。

「先進国クラブ」とも称されるG7とは別に、2008年からは先進諸国と新興国による国際経済協力の枠組みである20カ国・地域(G20)の首脳会議が始まった。G20の重要性が高まるについて、G7が存在意義を見失い地盤沈下するとの見方も、G7サミットが毎年開かれるたびに指摘されてきた。

しかし、中国およびロシアという2大強権大国に加え、サウジアラビアやトルコなど民主的価値観からの乖離(かいり)が目立つ国々が参加するG20は、世界規模の経済政策を調整する上でG7を補完する存在であるとしても、自由や人権などの価値観を掲げて世界の懸案に対処し、国際社会の将来を描く存在とはなり得ない。

G7は1998~2013年にロシアをサミット参加国として迎え入れ、G8(主要8カ国)となったものの、14年のプーチン政権によるウクライナ南部クリミア半島の併合を受けてロシアを追放した。ロシアが出たことで、G7は価値観を共有する先進国の集まりという本来の姿に立ち戻り、存在意義を高めていく機会を得た。

その雲行きが一気に怪しくなったのは、トランプ米前大統領がG7各国との関係を貿易赤字といった非常に限られた尺度で判断し、保護貿易主義的な傾向を強め、ついには「G7は時代遅れ」と断じてロシア再加入などの枠組み改変を一方的に主張したためだ。

今回のサミットは、G7が権威主義体制への対抗軸として輝きを取り戻す転換点になったといえる。