イスラエルで12年ぶり政権交代、ネタニヤフ氏退陣

エルサレムで13日、初閣議を開くイスラエルのベネット新首相(AP)
エルサレムで13日、初閣議を開くイスラエルのベネット新首相(AP)

【テヘラン=佐藤貴生】イスラエル国会(定数120)で13日、12年連続で首相を務め、在任期間が通算15年に及んだネタニヤフ氏(71)と、右派与党のリクードを除外した連立政権が承認され、政権交代した。イランやパレスチナに強硬姿勢で臨んだネタニヤフ氏の退任で中東の勢力図にどのような変化が生じるか、注目される。

投票で賛成60、反対59の1票差で新政権が承認された。1人が棄権した。新政権はユダヤ人極右のヤミナなど右派3党、イェシュアティドなど中道・左派が4党、アラブ系ラアムを加えて8党が混在している。8党は政策の差が大きい。

8党間の合意で新首相に就任したヤミナ党首のベネット元国防相(49)は2年後、連立協議を主導したイェシュアティド党首のラピド元財務相(57)に、首相職を交代する。

バイデン米大統領は新政権の発足を祝福し、安全保障やイスラエルとパレスチナの和平実現に向けて協力するとの声明を出した。

ベネット氏は13日、投票前に国会で演説し、欧米が2015年にイランと結んだ核合意の立て直しを進めていることは「誤りだ」と言明。5月中旬に軍事衝突したイスラム原理主義組織ハマス側に対し、「イスラエルを攻撃すれば強力な報復に遭う」と警告した。

退任に追い込まれたネタニヤフ氏は13日、「私たちはすぐに(政権に)復帰する」と演説で強調した。

8党は、収賄罪に問われたネタニヤフ首相を退任させることが唯一の共通目標で、政権基盤は脆弱(ぜいじゃく)だ。連立の参加議員は61人と半数を1人超えたにすぎず、政権内で対立が起きれば短命に終わる可能性もある。

延期されていた右派ユダヤ人らによるエルサレム旧市街の行進について、ネタニヤフ氏は先週、15日に行うことを許可した。8党による新政権発足を見込んで揺さぶりをかけた形だ。

旧市街にはイスラム教とユダヤ教の聖地があり、5月にはイスラム教徒のパレスチナ人とイスラエルの治安部隊が衝突した。同国軍とイスラム原理主義組織ハマスの大規模交戦のきっかけとなった。ハマス側は行進すれば、「戦闘が再び起きる」と警告している。

イスラエルでは3月23日の国会選でリクードが第1党となり、党首のネタニヤフ氏がまず連立協議に臨んだが、期限までにまとまらず失敗。次いで第2党イェシュアティドのラピド党首が協議を主導してきた。