東芝、〝お手盛り調査〟許されず 役員ら続投一転

東芝の定時株主総会の運営に関する調査報告書について説明する弁護士のオンライン会見=10日午後(画面複写)
東芝の定時株主総会の運営に関する調査報告書について説明する弁護士のオンライン会見=10日午後(画面複写)

東芝が退任を発表した取締役と執行役の4人は、外部弁護士が昨年7月の定時株主総会の運営について調査した報告書の中で、名指しで問題を指摘された面々だ。東芝は当初、自社で行った〝お手盛り調査〟で4人とも続投させる方向だったが、報告書の公表で状況が一変、方針転換を迫られた。企業経営の透明性向上が求められ、外国人投資家が厳しい視線を注ぐ中、身内に甘い日本型経営は許されなくなってきている。

「調査報告書の指摘を踏まえて、株主の皆さまに再任の理解を得ることが難しいと判断した」。14日に会見した東芝の永山治取締役会議長は、報告書の指摘内容をすべて認めたわけではなかったが、4人の退任は25日の株主総会を乗り切るために必要な措置だったと説明した。

報告書では、退任が決まった豊原正恭(まさやす)執行役副社長と加茂正治執行役上席常務が、経済産業省と社内の間に立ち、頻繁にやり取りしていたことが指摘された。

特に豊原氏は中心的な役割を担っていたとみられ、物言う株主側が、株主提案を模索する動きが出始めた同年3月ごろから連日のように経産省幹部に連絡。「好ましからざる組織、機関を排除、抑制することが法的に可能か」などと持ち掛けた。加茂氏も外為法に基づく調査を経産省に求める「申込書」の作成を社内に依頼するなど、計画に深く関わっていたとされる。

監査委員会委員長の太田順司氏と同委員の山内卓氏の社外取締役2人が退任するのも、報告書で「牽制(けんせい)機能を十分に果たせていない」と指摘されたためだ。監査委は経産省の圧力疑惑が一部報道で指摘されたことを受け調査を実施。太田氏らは東芝と経産省側が頻繁なやりとりを認識しながらも、今年2月の取締役会で「不当な干渉に関与したことは認められない」とする見解をまとめていた。

外部弁護士の調査は、AI(人工知能)を使い膨大なメールなどを分析、本来は表に出ないやりとりまで表面化させた。水面下での調整や、事実を曖昧にしたまま強引に推し進める経営手法には限界がみえはじめている。(蕎麦谷里志)