民主主義の結束でG7復権 渡邊啓貴帝京大教授

渡邊啓貴帝京大教授
渡邊啓貴帝京大教授

先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、中国のワクチン外交や巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗策となる10億回分のワクチン供与や途上国へのインフラ支援で合意し、民主主義国の結束を示した。米欧関係はトランプ米大統領時代に悪化したが、バイデン米政権の発足を受け、今後のG7の協調姿勢を確認することができたといえる。

中国をめぐってはG7の中で温度差もあるが、新型コロナウイルス禍からの経済回復で、「一帯一路」を通した中国の独り勝ちなどへの危機感を共有した。

日米が主張する台湾問題に関しても、欧州側は無視できないという姿勢だ。

欧州の対中外交における交渉カードには「人権」と「経済」があり、民主主義や人権を擁護する立場から日米と連携した。

ロシアを含め、民主主義への脅威となる国に対して民主主義勢力の強い結束を示した意義は大きく、G7は復権を果たした。

ただ、トランプ政権時代に悪化した米欧関係は盤石ではない。バイデン大統領は関係回復を重視するが、欧州側の米国への不信感は続くだろう。今は米国の政権交代直後で一時的な「蜜月」とも呼べる状況だが、中国をめぐって摩擦が出てくる可能性もある。

また、中国が「一帯一路」を進めるユーラシア大陸では、中露が連携を深めている。同地域で欧州、中国、ロシアによる勢力圏争いが活発化すれば、G7の新たな課題となる。(聞き手 坂本一之)