【コーンウォール(英南西部)=板東和正】英南西部コーンウォールで開かれていた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は13日、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸(中台)問題の平和的解決を促す」と明記した首脳宣言を採択した。G7サミットの首脳宣言で台湾海峡に関する文言が入るのは初めて。サミットは3日間の討議を終え、閉幕した。
首脳宣言では、発展途上国に対し、インフラ投資を進める方針も盛り込んだ。中国の習近平指導部が周辺の途上国などで進めている巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗策となる。
また、中国に対し、新疆(しんきょう)ウイグル自治区での「人権や基本的自由」を、香港では「自由と高度な自治」をそれぞれ尊重するよう求めた。さらに、中国の覇権的な海洋進出を念頭に、東・南シナ海での情勢への「深い懸念」を示し「緊張を高めるいかなる一方的な試みにも強く反対する」と表明。法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」を維持する重要性を確認した。
北朝鮮については、「朝鮮半島の完全な非核化」とともに違法な大量破壊兵器と弾道ミサイルの「検証可能かつ不可逆的な廃棄」を求める方針で一致。拉致問題を即時に解決するよう求めた。
一方、首脳宣言では、東京五輪・パラリンピック開催について「新型コロナウイルス克服に向けた世界的な結束の象徴として、安全かつ安心な方法で開催することを支持する」と明記した。
議長のジョンソン英首相は13日、閉幕後の記者会見で 「G7として私たちがすべきことは民主主義、自由、人権の恩恵を世界に示すことだ」と強調した。また、首脳宣言に新型コロナウイルスのワクチン10億回分を途上国などに提供する方針を盛り込んだことについて「新型コロナを永久に打ち負かすためにG7が全力を注ぐとの世界の期待に応えられたと思う」と評価した。