米、対中包囲網形成に自信 中国は対決姿勢

G7サミットの関連レセプションで言葉を交わすバイデン米大統領(左)とジョンソン英首相=11日、英コーンウォール(Andrew Parsons/英首相官邸提供・共同)
G7サミットの関連レセプションで言葉を交わすバイデン米大統領(左)とジョンソン英首相=11日、英コーンウォール(Andrew Parsons/英首相官邸提供・共同)

【ワシントン=塩原永久、北京=三塚聖平】英国で開催中の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、議論を主導する米国が中国包囲網構築に手応えを感じている。12日までに途上国支援やハイテク分野の主導権争いに加え、中国の強制労働問題などをめぐる経済分野などを協議し、政権幹部は「大きな進展があり、勇気づけられた」と自信をのぞかせる。ただ、中国側は首脳会議進行中にG7を批判する談話を出すといった動きをみせており、国際協調路線に復帰して存在感を増す米国との対決姿勢を鮮明にしている。

G7サミットは12日までの会議で、新型コロナウイルスワクチンの分配や、途上国でのインフラ整備支援で合意。巨大経済圏構想「一帯一路」などを駆使した中国による途上国での勢力圏拡大にくさびを打ち込んだ。

米政権高官は12日の電話会見で、G7で「(対中)統一アプローチに向けた強固な共有基盤」が築けたと指摘。産業補助金など中国の不公正貿易への対処や、新疆ウイグル自治区での強制労働をはじめとする人権問題などを例に挙げ、民主主義国によるG7が力強いメッセージを発出できるとの見通しを示唆した。

議論を引っ張っているのはバイデン米大統領が国際協調路線への復帰に踏み出した米国だ。G7サミットなどの日程を盛り込んだ訪欧直前には、米国からの対中投資を禁じた措置を強化し、禁止対象の中国企業を、監視カメラ大手などを含む計59団体に拡大した。

バイデン政権は一方で、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」など中国系アプリの利用を禁じたトランプ前大統領の命令は撤回し、同盟国とも連携しながら敵対勢力がからむITサービスの管理方針を見直すことにした。トランプ前政権の対中強硬姿勢を引き継ぎつつ、中国アプリ排除など法的根拠が乏しい「無理筋」(米通商筋)の措置は修正。同盟国との協力強化も念頭に、実効性の高い中国封じ込めを目指す構えをみせた形だ。

これに対して中国側は米国がG7各国を巻き込んで対中包囲網を強めることを警戒している。中国の在英大使館は12日、G7サミットに対し「世界の物事は少数の国が操るべきでない。そうした時代は過去のものとなった」と批判する報道官談話を発表した。

同時並行で習近平指導部は米国や欧州各国に対し、対抗措置の準備を着々と進める。サミット開幕前の10日には中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が「反外国制裁法」を可決し、即日施行した。米欧など外国による対中制裁に対し、関係者の中国国内の資産凍結や入国禁止といった対抗措置を講じることを明記した。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国は同法の制定においてバイデン政権の対中アプローチを「見守っていた」という見方を紹介する。バイデン政権が、新疆ウイグル自治区や香港などに関して対中圧力を増す中で、習近平指導部は「目には目を歯には歯を」という姿勢を強めている形だ。今後、米国や欧州との報復合戦がさらにエスカレートする恐れもある。