新聞に喝!

「SDGs」問題の本家本元を追及せよ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

産経新聞生活面の「知ってる」欄で、「古着ビジネス」が取り上げられていた。5月12日の第2回によると「産経新聞社では平成28年から、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、古着の寄付で障害者スポーツを応援する『ふくのわプロジェクト』に取り組んでいる」とあり、また、その古着については、「国内では不用になった衣類の7割が可燃ごみなどとして捨てられており、リユース率の低さが指摘されている」と説明されている。

19日の第3回では、日本の古着は品質が良いので海外で人気があり、「財務省の貿易統計によると、日本から輸出される中古衣類は年間約24・1万トン、約96億4500万円(直近5年平均値)」で、昨年は60カ国に輸出された。品質が良いのは、大事に使っているからだが、簡単に捨てていることでもある。

同じ産経の23日の「学ぼう産経新聞」欄では、「食品ロス」の問題が取り上げられており、2018年度の推計値が、600万トンで、ここでもSDGsの問題として言及されている。つまり衣類の場合も食品と同様に、「ムダ」と正確に認識して、「衣類ロス」と言うべきなのではないのか。

現在の日本は、「衣食住」の生活文化のうち、住はともかく、衣と食は格段に豊富になっている。しかし豊富になればなるほど、かえって幸福感は希薄になっている。それは日常があまりにも潤沢になってしまったからだが、ただしその質は決して高くない。

衣類で言えば、売れればよい生産者が過剰生産して、安ければよい消費者が過剰に消費するのである。過剰生産と過剰消費の悪循環である。良質なものを、適度に生産して、大事に使うのが、本当のあるべき姿である。

最近の新聞などのメディアでは、連日のように、SDGsの大合唱である。しかし、古着の回収・輸出などで、目標を達成できるはずもない。最近、実に安直な資本主義批判があるが、資本主義が病んでいるのは間違いない。

しかも新疆(しんきょう)綿問題で明らかなように、この資本主義の腐敗には、「共産主義」の中国が、深く関与しているのは、紛れもない事実である。この問題に限らず、中国との癒着関係を批判された、日本の大企業の問題は、現在どうなっているのか、新聞による続報を待つ。そして、あらゆる項目において、SDGsの最大の違反者である中国を、SDGs報道に熱心な新聞は、批判・追及すべきなのである。

【プロフィル】酒井信彦

さかい・のぶひこ 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂(へんさん)所で『大日本史料』の編纂に従事。