【北京=三塚聖平】先進7カ国首脳会議(G7サミット)でバイデン米政権を中心に、中国やロシアに対抗するため同盟・パートナー諸国と関係強化を図って対中包囲網を強める動きが出ていることに、中国側が神経をとがらせている。
中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は10日の記者会見で、G7サミットに対し「対抗をあおるのは間違いなく誤った道だ」と牽制(けんせい)。「徒党を組み、小派閥をつくるやり方は人心を得ず、活路はないと決まっている」とも述べて警戒感を示した。
一方で中国は、包囲網の切り崩しに向けた戦略も着々と進めている。巨大経済圏構想「一帯一路」を軸にアジアやアフリカの発展途上国を中心に味方作りを急いでおり、新型コロナウイルスの流行後には「ワクチン外交」でその結びつきをさらに強めている。
また、対米で利害が一致するロシアとの接近姿勢も目立つ。3月下旬には王毅国務委員兼外相が、訪中したラブロフ露外相と会談し、米国が中国の人権状況を問題視していることを念頭に、「人権問題の政治化に各国は反対すべきだ」とする共同声明を発表した。
中露は、原発や宇宙などといって米国と対抗する領域でも協力を強化している。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は5月上旬、中露両国の経済や科学技術、軍事力を強調し、G7側に対して、中露と対立すれば「必ず悪夢となる」と警告する社説を掲載した。