主張

G7サミット 中国抑止へ今こそ結束を

英国で11日から始まる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の最大のテーマは中国である。

力ずくの海洋進出や人権弾圧、不公正な貿易慣行など、その振る舞いは市場経済や民主主義、法の支配といったG7共通の理念とは相いれない。どのように中国を抑止するのか。行動に移すための議論を尽くしてほしい。

なかでも、中国の威嚇にさらされる台湾の安全確保は大きな課題だ。G7外相会合の他、日米、日欧の首脳協議などで積み上げてきた合意の上に、武力侵攻の可能性も念頭に置いた厳しい警告を発する必要がある。

英国が空母をインド太平洋に向かわせるなど、欧州メンバー国もこの地域への関与を強めている。「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向け、議論を進めることが重要だ。香港の民主派排除、新疆ウイグル自治区などでの少数民族の抑圧は看過できず、G7として一致して対処すべきだ。

巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗策も協議される。途上国支援は、日米欧それぞれに実績がある。透明性の高い構想を提示し、速やかに実行すべきだ。

G7は近年、トランプ前政権の米国と欧州の亀裂が際立ち、2019年のサミットは包括的な首脳宣言をまとめられず、昨年はコロナ禍で対面の会議を見送った。

だが中国やロシアなど強権国家の挑戦を受け、G7の存在意義は見直されている。バイデン米政権は、同盟・友邦諸国との連携を中国に対抗する基本であると表明した。G7をその中核として機能させなくてはならない。

中国への態度は経済的な結びつきの違いなどで、7カ国の間でも温度差がある。だが今回は、民主主義を守るという長期的視野に立って結束を優先させ、G7の再生を世界に印象づけてほしい。

新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的流行)を押さえ込むため、ワクチンの供給は喫緊の課題である。中国は自国製ワクチンの提供で影響力拡大を図っている。G7はこの分野でも指導的役割を果たすべきだ。

バイデン氏にとってはこれが就任後初の外国訪問であり、菅義偉首相には初の対面による多国間会合となる。ホストは欧州連合(EU)を離れた英国のジョンソン首相が務める。G7の歴史的転換点として期待したい。