勇者の物語

阪急のチーム力低下か それとも… 虎番疾風録番外編245

ベンチ前で近鉄・西本監督の胴上げを見つめる勇者たち(右から福本、大熊、梶本監督、長池、山口)
ベンチ前で近鉄・西本監督の胴上げを見つめる勇者たち(右から福本、大熊、梶本監督、長池、山口)

■勇者の物語(244)

阪急はなぜ、近鉄に敗れたのだろう。

かつての恩師・西本監督の胴上げを選手たちはベンチ前に整列して眺めた。

「近鉄は強くなった。以前のようにオタオタせんようになった」とエース山田。そして梶本監督はこう語った。

「とにかく打てなかった。前半で点が欲しかったがそれが取れなかった。やっぱり、先手を取れんというのが敗因だと思う」

チャンスは作るがその後のヒットがでない。プレーオフの3連戦、ことごとく山口に阪急打線はチャンスで封じ込められた。

■第1戦 1―4で迎えた八回、ウイリアムスと笹本の長短打で1点を返し、なおも福本の右前打と簑田の四球で1死満塁。ここで井本をリリーフした山口に島谷が遊ゴロ併殺。

■第2戦 2―5で迎えた八回、1死満塁で高井が2点タイムリー。1点差としなおも1死一、二塁。柳田をリリーフした山口にマルカーノ、河村が打ち取られる。

■第3戦 1―1の同点で迎えた七回、連打と四球で2死満塁。だが、村田をリリーフした山口に笹本が中飛。延長十回には福本のヒットと二盗で2死二塁とするも、簑田が空振りの三振。

この3連戦、阪急は21人の打者が山口に挑んだが、ヒットはわずか1本。第3戦の福本1人だけ。

ネット裏で野村克也はこう分析した。

「これまで阪急と対戦したとき、バッテリーの傾向を見破られるのではないか―という怖さが常に頭にあった。その阪急が3連戦を通じて、はっきり出ていた〝山口の傾向〟、2球目までにストライクを取る―という傾向を見逃していた」

「阪急はリリーフエースの山口の凋落とともにチーム力が落ちたといわれている。だが、そんな表面的なことより、目に見えない部分での力の低下も大きかったと思う」

それは油断なのか、おごりなのか。それとも、投手出身の監督と捕手出身の監督との〝違い〟なのだろうか…。

「まぁ、済んだことはいまさら言ってもはじまらない。いまはただ、近鉄は立派やったと言いたい。チャンピオンにふさわしい力を持っている」

最後は梶本監督らしく、近鉄を称える言葉だった。(敬称略)

■勇者の物語(246)

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