【主張】党首討論 ワクチン邁進が最優先だ - 産経ニュース

メインコンテンツ

主張

党首討論 ワクチン邁進が最優先だ

国会の党首討論が2年ぶりに開かれた。菅義偉内閣の発足後では初めてだ。新型コロナウイルス対策や東京五輪・パラリンピック開催の是非が討論の大半を占めた。

菅首相は、新型コロナワクチンの国内接種が1日100万回を超えたことや、重症化しやすい高齢者への接種を7月いっぱいで終えられる見通しになったと説明し、医療体制の逼迫(ひっぱく)が大幅に改善されると指摘した。

さらに、希望する国民全員へのワクチン接種を10月から11月にかけて終えたいと語った。コロナ収束に向け、新たな目標を掲げた点は評価できる。立憲民主党の枝野幸男代表は接種促進への期待感を表明した。

菅首相は、日本が国内治験にこだわり接種が世界から3カ月遅れて始まった点を認めた。政府は猛省が必要だ。治験の在り方を含めワクチン調達・開発態勢の改革に取り組むべきである。

五輪・パラをめぐっては枝野氏や共産党の志位和夫委員長が「命が失われたら取り返しがつかない」などと迫った。

菅首相は、入国してくる関係者数の一層の絞り込みや、衛星利用測位システム(GPS)を使って海外メディアなどの行動制限を図る具体的方策を語った。

新たな人の流れを懸念し、対策を取るのは当然だが、五輪・パラだけにゼロリスクを迫るような枝野氏や志位氏の物言いはバランスを失していないか。今でもプロ野球など各種競技は、感染対策を講じて行われている。

五輪・パラ開催の意義を、遅まきながらも菅首相が語った点は注目したい。昭和39年の前回東京五輪の記憶に基づき「底知れない人間の能力を感じた」と述べ、素晴らしい大会を今の子供や若者が見ることで「希望や勇気」が伝わることを願った。パラが「心のバリアフリー」の学習にもなると指摘した。野党党首が開催の意義に触れなかったのとは対照的だ。

菅首相と野党党首が尖閣諸島防衛や「台湾海峡の平和と安定」など、日本の平和と繁栄に密接に関わるはずの中国がらみの安全保障、経済、人権問題を取り上げなかった点には違和感を覚える。

野党の多党化で1党あたりの時間が確保できず、論議が深まらないのであれば、党首討論の時間延長や複数回の実施など工夫をこらす必要がある。