菅義偉(すが・よしひで)首相は9日、政権発足後初となる党首討論に臨み、新型コロナウイルスワクチンの接種について、「10月から11月にかけて必要な国民には全て終えることを実現したい」と述べた。接種を希望する国民すべての完了時期を明示するのは初めて。夏の東京五輪・パラリンピックに向けては、感染対策を説明したうえで「世界が新型コロナという困難に立ち向かい、団結して乗り越えることができたと日本から発信したい」と意義を強調した。
党首討論が行われるのは令和元年6月以来約2年ぶり。首相は企業などで行うワクチンの「職域接種」が今月21日から始まることも踏まえ、「少なくとも今月末には4千万回を超えることができる」と言及した。1日当たりの接種回数が政府の目標とする「100万回を超えてきた」とも語り「感染対策はワクチンで大きく変わった」と強調した。
五輪・パラに関しては、来日する大会関係者について、当初想定の18万人を半減させたとした上で「さらに縮小する方向で検討する」と述べた。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が、開催に伴う感染拡大を懸念していることに関しては「当然、参考にして感染対策を詰めることになる」とした。
新たな経済対策となる補正予算の編成については、昨年度の補正予算の未執行分の繰り越しなどで約30兆円を確保していることを説明し、「これらを執行し、全力で(経済を)支援したい」と述べるにとどめた。早期の衆院解散も「コロナ対策を最優先するのが国民の一番期待していることだ」と語り、慎重な姿勢を示した。
党首討論では、立憲民主党の枝野幸男代表、日本維新の会の片山虎之助共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の志位和夫委員長が論戦を交わした。