新型コロナウイルスの感染「第5波」に備えて大阪府は9日、医療関係者らとの協議会で、病床の確保計画を大幅に強化することなどを決めた。ただ、最大計3500床の確保を目指す計画について病院側は、必要性を認めつつも、医療機関ごとの機能のばらつきやマンパワー不足があるとして懸念を示した。
この日の協議会で、大阪府病院協会の佐々木洋会長は病床拡充に向けた「中等症・重症一体型病院」の導入について、「重症患者を本来、診ることができない実力の病院がどれぐらい手を挙げるのか」と述べ、重症化しても対応できる病院は限られるとして実際の運用に疑問を呈した。
重症病床を現在の最大224床から500床まで上積みする目標には理解を示したが、医療提供体制が整っていないとし、「ベッドだけ確保しても人がついていない」とも指摘した。
大阪府医師会の茂松茂人会長は「頭ごなしにベッドをつくってくれ、ではない」と反発。事実上の医療崩壊に至った第4波の経験を踏まえ、コロナ専門病院を設ける必要性を強調した。
この日の会議で府は、自宅療養者の重症化を防ぐため、地区医師会での輪番制による往診体制の確保も府医師会に要請した。府内の自宅療養者の診察について平日の日中は府医師会の協力によるオンライン診療が大半を占めている。茂松氏は「現状のオンライン診療でもきっちりと医療を届けられている」と反論。容体急変時の救急搬送など後方支援体制が明確になっていないことなどを理由に、「現状のオンライン診療の体制を徐々に広げるべきだ」と訴え、議論は平行線に終わった。