大坂なおみの記者会見拒否は問題提起か職務放棄か

「鬱」告白を受け、「会見はわれわれにとって仕事の一部で、応じる義務がある」と批判的だった男子世界1位のノバク・ジョコビッチ(34)=セルビア=ら、さまざまなスポーツ選手が大坂をたたえた。

「改善」への意欲失わず

反響がテニスにとどまらず広くスポーツ界に広がった背景には、大坂への同情だけでなく、同じように精神面の悩みを抱える選手が少なくないことが挙げられる。競泳男子で23個の五輪金メダルを獲得したマイケル・フェルプス氏(35)=米国=や、サッカー元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ(37)=ヴィッセル神戸=ら、鬱症状に苦しんだ経験を公にした選手もいる。トップ選手が巨大な重圧の下でプレーし、注目を集めることが背を押すこともあれば逆に重荷にもなり得ることは想像に難くない。

一方で、プロスポーツの高額な賞金はテレビの放映権料や広告収入に支えられている側面がある。記者会見が放送の価値を高め、ファン拡大にも貢献しているのが実情で、だからこそ取材対応は選手の義務と考えられている。

大坂は31日のツイートでしばらくコートを離れるとしながら、「時期がきたらツアー(大会運営側)と協力して選手、報道機関、ファンにとって事態を改善するための方法を話し合いたい」とも記し、メディアとの関係を問い直す意欲は失っていない。

大坂と並ぶ日本テニスのエース、錦織圭(31)=日清食品=が全仏オープン男子シングルス1回戦を、最終第5セットまでもつれる接戦の末に突破した後のことだった。会見では大坂に関する質問が出た後、苦戦した錦織自身の試合について、記者がユーモアたっぷりに「なぜ、いつも5セットの試合で4時間以上もプレーするの?」と尋ねた。これに対する錦織の答えもウイットに富んだものだった。「テニスが好きで、少しでも長くコートにいたいから」

錦織がプロに転向してから15年近く。大坂もいつか、笑顔でこのようなやりとりを交わす日が訪れるだろうか。


会員限定記事会員サービス詳細