軍事力を急速に増強する中国は日本列島と台湾をつなぐ第1列島線以西から米軍を排除する能力を構築しつつあり、米軍が台湾有事に対応できない懸念が強まっている。4月の日米共同声明に「台湾」が1969年以来、52年ぶりに明記された背景には、中国の台湾侵攻への強い危機感がある。69年と比べて軍事バランスが中国優勢に傾き、米国は民主化した台湾を守るため支援を強化しており、日本も主体的な関与が求められている。
中国の台湾侵攻に現実味
米インド太平洋軍幹部から今年3月、中国の台湾侵攻を予測する発言が続いたことを受け、各国の専門家から台湾有事の可能性や米中の戦力比較に関する分析が相次いで出されている。中でも、米スタンフォード大のオリアナ・スカイラー・マストロ研究員が米外交誌フォーリン・アフェアーズの最新号に発表した論文が注目を集めている。