ソウルからヨボセヨ

「自分だけ…はまずい」 変わり身の早さと危うさ

変わり身の早さには心底驚いた。新型コロナウイルスのワクチンに対する韓国世論の急変ぶりについてだ。韓国では、ワクチン接種の遅れが連日報じられる一方、副反応への不安感から高齢者らの接種の予約が伸び悩んでいた。

ところが、海外からまとまった量のワクチンが届き、先月27日から65歳以上対象の大規模接種が始まって以降、メディアは接種率の上昇を毎日好意的に報じ、予約率も政府目標の8割を超えた。防疫当局も、今月末までに国民の4人に1人が1回目の接種を終えるという政府目標の前倒しが可能だと自信をみせる。

60代女性らによると、同年代の仲間内でも「ワクチンを打ったけど、何ともなかった」とスマートフォンのSNSで報告し合う書き込みが増えているという。「自分だけ接種していないとまずい」という心理が予約率を押し上げたらしい。

その日に余ったワクチンの接種をスマホで簡単に予約できるシステムが始まると、周囲の知人らにもわれ先に予約しようとする光景が現れた。韓国語で「ヌンチ」と呼ぶ周りの目を気にして行動する風潮が、ワクチン不信から接種への殺到に人々を動かしたようだ。

ただ、これほどの変わり身の早さは、いつ再び不安の方向に大衆心理が転じてもおかしくない危うさもはらんでいる。(桜井紀雄)